エネ庁「洋上風力産業ビジョン」、2040年に最大45GWへ。国内調達強化も
2021/01/12
洋上風力発電は欧州を中心に導入が進み、コスト低減も実現されている。発電設備を構成する部品点数が数万点と多く、経済波及効果も大きい。こうした理由から“再エネ主力電源化の切り札”とされる。資源エネルギー庁が12月に発表したビジョンでは、長期の導入目標に加え、国内調達比率も定められた。
洋上風力は再エネ主力化の切り札
経済波及効果にも期待がかかる
海に囲まれた日本は、地理的に洋上風力発電のポテンシャルが高いとされている。また、洋上風力の発電設備は、1基当たりの部品点数が数万点とサプライチェーンの裾野が広い。事業規模も数千億円規模になる可能性があり、経済への波及効果も期待されている。(参考:『洋上風力導入が日本で本格発進! 経済波及効果は15兆円との試算も』)
12月15日、資源エネルギー庁が「第1次洋上風力産業ビジョン」の草案を発表した。「1.魅力的な国内市場の創出」「2.投資促進・サプライチェーン形成」「3.アジア展開も見据えた次世代技術開発、国際連携」の3つを基本戦略に据えた。
政府による導入目標は、2030年までに1,000万kW、2040年までに3,000万~4,500万kWの案件を形成することだ。産業界は、構成部品の国内調達比率を2040年までに60%とすること、着床式洋上風力発電の正味発電コストを2030~2035年までに8~9円/kWhとすることを目指す。
案件形成に政府が積極的に関与
補助金などで設備投資も後押し
政府は今後、年間100万kWほどの区域指定を10年間継続していく構えだ。建設のリードタイムが長い洋上風力発電の案件に、政府が長期間にわたってコミットすることで、国内外からの投資を呼び込む狙いがある。継続的な案件形成のため、風況や地質などの調査や漁業者との調整といった役割分担を整理し、政府が開発初期から積極的に関与するという。
構成部品が数万点にわたる洋上風力発電は、サプライチェーンが広く経済波及効果が高いことから、産業界にも目標を課す。国内における部品の調達比率を2040年までに60%とすることを求める代わりに、政府は補助金や税制などによる設備投資の支援を行う。また、関連する法令の整備も同時に進める。電気事業法や港湾法、船舶安全法は、重複する審査項目を一本化するなどの見直しがすでに決定している。
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)