日本でも進む『電力シェアリングエコノミー』異業種との融合も
2019/01/29
電力シェアリングエコノミービジネスを拡大するには、大手とベンチャーが手を組んで進めることが必要だ。現在、日本でも様々な電力会社が実証実験を行っている。
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各企業による
実証実験が盛んに
ベンチャー企業と大手企業が組み、電力シェアリングエコノミーのビジネス化が着々と進んでいる。下のように、電力シェアリングエコノミーを進める実証実験が盛んだ。
動き始めた電力シェアリング
●東京電力
P2Pプラットフォーム事業を独イノジー社と共同で開始。英Electron社にも出資
●関西電力
太陽光発電で生じた余剰電力を直接取引する実証研究を、豪パワーレッジャー社と共同で開始
●中部電力
AIやIoTなどの先進技術と顧客の暮らしをつなぐ新ブランド「カテエネコネクト」を立ち上げる
●みんな電力
ブロックチェーン技術を活用したP2P電力取引プラットフォームの開発をAerial Lab Industriesと共同で開始
●デジタルグリッド
デジタルグリッド技術を用いた自家消費される再エネCO2削減価値の事業者向け取引・決済システム検討事業
●電力シェアリング
自家消費される再エネCO2削減価値の地方部等におけるCtoC取引サプライチェーン検討事業
●エナリス
デマンドレスポンスにブロックチェーンが有効かどうか、福島県の一般家庭で会津ラボ、会津大学と共同検証
例えば、東京電力は昨年、ブロックチェーンを活用した電力P2Pプラットフォーム事業を、ドイツ大手電力会社のイノジー社と共同で立ち上げた。ドイツ企業を選んだのは、同国では太陽光発電の増加や電力における地産地消の機運の高まりなどから、プロシューマーと電気消費者が直接電力の取引を行うことへの期待が高まっているからだという。
また関西電力は、豪州パワーレッジャー社と共同で、余剰電力をプロシューマーと電気消費者の間で、仮想通貨を用いて直接取引する実証研究を始めた。同社の巽実験センター(大阪市生野区)において、太陽光発電設備が設置されたプロシューマー宅で発生した余剰電力を、同実験センター内の複数の電気消費者宅へ送電する。そんなプロシューマーと電気消費者の取引を、仮想通貨を用いて模擬的に行うというものだ。
さらに中部電力は、Nayuta(福岡市)とインフォテリア(東京都)と組み、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの充電履歴をブロックチェーンで管理する技術の実証実験を始めている。
他にも、再エネ電気の生産者を選べる「顔の見える電力」サービスを提供してきたみんな電力は、ブロックチェーン技術を活用し、電気を「みんなでトークン」(仮称)という形でP2P取引できるプラットフォーム開発を始めた。
エナリスは昨年、福島県の「再生可能エネルギー関連技術実証研究支援事業」に採択された。地元でエネルギーマネジメントシステム開発に取り組む会津ラボと組み、一般家庭の電力使用データを活用して、デマンドリスポンスや見守りサービスを行う際に、電力使用(抑制・遮断)データの記録基盤としてブロックチェーンが有効に働くかを検証してきた。