編集部からのお知らせ

欧州の洋上風力発電2017 入札価格下がり市場拡大

世界の再生可能エネルギーを、太陽光とともに牽引する風力発電。洋上風力発電の普及が、急速に進んでいるのだ。風力大航海時代の始まりである。今回は、洋上風力の大規模化について日本風力エネルギー学会(JWEA)会長・石原孟氏(東京大学教授)に伺った。

欧州・洋上風力は
大規模化へ

土地の制約がない洋上には、大規模なウィンドファーム(複数の風車からなる風力発電所)の建設が可能である。現在、世界最大のウィンドファームは、イギリスの洋上風力発電所「London Array」で、3.6MWの風車175基からなる。その設備容量は、合計で630 MW (0.63GW)。一般的な原発1基がおよそ1GWであることを考えると、そのスケール感が伺えよう。
そして留意すべきは、この発電所が突出して大きいのではなく、最近のヨーロッパのウィンドファームは600MWクラスが主流であるという点だ。昨年7月に入札にかけられたオランダの洋上ウィンドファームに至っては、700MW規模だというから驚かされる。

 

欧州における洋上風力発電導入量

洋上風力発電の導入がイギリス等を中心に拡大し、2016年までに累計1440万kW

(出典)EWEA「 The European offshore wind industry – key trends and statistics 2015」を元に本誌編集部にて作成

 

価格競争力のある
電源として

ウィンドファームが大規模化する要因としては、再生可能エネルギーに対するニーズの高まりとともに、コスト面での要請も大きい。ヨーロッパの大規模風力発電は入札が主流であり、コスト効率に優れた発電所しか建設ができない。そして採算性を上げるためには、規模を大きくした方が有利だからだ。
結果として、風力の入札価格は下がり続けており、前述のオランダのウィンドファームは72.7ユーロ/MWh(8.1円/kWh)で落札されている。さらに昨年11月には、スウェーデンの発電事業者が、バルト海上に建設する洋上風力発電所を49.9ユーロ/MWh(5.7円/kWh)で落札した。
いまや洋上風力発電は、他の電源と比較しても充分に安い、価格競争力のある電源となっているのである。

風力大航海時代
→ 第1弾はこちら
→ 第3弾はこちら
→ 第4弾はこちら
→ 第5弾はこちら


取材・文/廣町公則

『SOLAR JOURNAL』vol.22より転載

関連記事

2018/03/15 | 編集部からのお知らせ

小型風力のFIT区分撤廃に批判噴出

2018/01/16 | 編集部からのお知らせ

NK型式認証を受けている世界の小型風車一覧

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【第7次エネルギー基本計画の原案公表】40年度に太陽光は22~29%程度、風力は4~8%程度...
  2. 【経済産業省】FIT案件への制御が増加し、FIP案件への制御が大幅に減少の見通し...
  3. いつまで続けるのか、ガソリン補助という愚策
  4. 【参加受付中!】2025年1月29日(水)「第32回PVビジネスセミナー」
  5. 【実証実験】横浜市が次世代型太陽電池の実証実験を開始‼
  6. 【内閣府】「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」に対するパブリックコメント...
  7. 【閣議決定】住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案が閣議決定。3省が連携して支援する...
  8. 資源総合システム「太陽光発電海外市場レポート 2024年版」を発行
  9. 太陽光による“地域再生”成功の秘訣とは?JPEAソーラーウィーク大賞、受賞者が語る【後編】...
  10. 専門家に聞いた! 日本に「垂直ソーラー」が必要な理由とは?
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.51 | ¥0
2024/10/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ