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2020年以降「農業主体」がソーラーシェアリングの新常識に!

ソーラーシェアリングは売電利益を第一の目的にするもの……。そんな間違った常識を覆す新たな仕組みが注目を集めている。“農業主体”のソーラーシェアリングを可能にする鉄骨+ポリカハウスの架台『がっちりHOUSE5』だ。

コウノトリの生息地を豊かに
豊岡市で育まれる多様性

兵庫県北部に位置し日本海に面する豊岡市は、日本で最後の野生コウノトリの生息地として知られる。現在でも熱心にコウノトリの保護・繁殖・共生事業を行っており、今では200羽以上のコウノトリが生息している。

同市では、農業でもユニークな取組みが行われている。美味しい米を作ると同時に多様な生物を育むことで、コウノトリが住める豊かな文化・地域・環境づくりを目指した「コウノトリ育む農法」だ。

坪口農事未来研究所も「コウノトリ育む農法」を実践する農業生産者だ。平峰さんご夫婦と2名の常勤社員で30haの農地を管理している。主な作物は水稲。無農薬・減農薬を中心に、安全・安心の農法を採用している。

ソーラーシェアリングも計5ヶ所に導入し、その下で有機ニンジンや有機カボチャ、ブルーベリーなどを栽培している。その平峰さんが今年4月に建てたのが、日本パワープラント(JPP)が提供する『がっちりHOUSE5』だ。鉄骨+ポリカの頑丈なハウスの屋根にソーラーパネルを設置できる。

「本当は3月に建つ予定でしたが、コロナの影響で遅れて4月になりました。5月に田植えを始めるための育苗に使う予定だったので、本当にギリギリでした(苦笑)。実際に育苗に使ってみて、シミュレーション通り、普通のハウスと異なる日射状況を確認できました。パネルで適度に日射が遮られますし、空調設備も整っているので、作業しやすかったですね。


平峰さんは今春、早速『がっちりHOUSE5』で水稲の田植え用の苗を育てる育苗を実施した。

当社は農業法人ですから、農業で食べていきたい。ただ、ここはコウノトリの里です。美味しくて安心・安全な農作物を作ることが最優先で、その過程が大切です。コウノトリが生きていくためには、そこに多種多様な生き物が共存していることが必須ですので、当社では農薬は極力使わないようにしています。

一方で、法人としての私達は、利益を出さなければ食べて行けません。そこで選んだのが『がっちりHOUSE5』です。農業を主体にしながら発電でも収入を得られる、というコンセプトに惹かれました。太陽光発電で得られた利益を活かして“良い農業”を続けられる、と考えたのです。

一般的なパイプフレーム+ビニールのハウスは、ビニールが破損するたびに大量のゴミが出ます。ところが『がっちりHOUSE5』は鉄骨+ポリカですからゴミは出ません。これも環境保全型農業を推進する当社にとって、非常に大きな魅力でした。こうした私達の思いに賛同してくださったから、パタゴニアさんとJPPさんが提携してくれたのだと感じています」。

社会の持続可能性を高めるには
ソーラーシェアリングが必要

平峰夫妻は「農業を主体にしつつ太陽光発電で利益を得る」という。そんなことが本当に可能なのだろうか? JPPの村田社長が答えてくれた。

「社名にあるように当社はEPCですが、創業以来、農業生産者様に向けて農業用ハウス『がっちりHOUSE5』を提供してきました。その過程で多くの農業生産者様と連携して、農業のノウハウも蓄積しました。その過程で分かったのは『既存のソーラーシェアリングサービスでは、農業に本気で取組む農業生産者様を満足させるのは難しい』ということ。ソーラーパネルの下に、どれだけ光を得られて、どんな作物を栽培できるのか。それを設計段階で明確にしてお伝えすると、農業に本気な農業生産者様ほど、乗り気になってくださいます。

たとえFIT制度が終了しても、ソーラーシェアリングは終わりません。社会の持続可能性を高めるには、太陽光発電と農業とを、共に持続可能にする必要があります。両方を上手く組み合わせることで、制度に左右されずに利益を出すことができる。平峰さんご夫妻は、そういう意気込みを強く持った同志のような存在です。ソーラーシェアリングの新しい常識を作ってくださると期待しています」。


写真右から/坪口農事未来研究所の平峰夫妻、日本パワープラント代表の村田聖氏

「農業主体」を実現する
独自の設計

ハウス内環境を快適にする冷房設備


標準装備のパッド&ファン冷却装置。ハウス側面の特殊な紙(パッド)を水で湿らせると、気化するときに周囲から熱を奪う。ハウス反対側に設置したファンが空気を外に出して流れを生み、冷気を全体に行き渡らせる。

農作物優先のパネル配置

棟木(屋根の一番高い位置にある部材)の右(西側)はパネルが少ない。西側は山が太陽を遮る時間が長いため、採光を考慮して減らした。東側に日が当たる午前中は発電に有利。適度に日差しを遮るから快適に農作業できる。

安心の高強度と豊富なオプション


標準仕様は広さ8m×24m=192㎡の鉄骨+ポリカーボネイト外板ハウス。オプションで冷暖房装置、ソーラーパネルのほか、オフグリッド化が可能な蓄電池、ハウス栽培に必要な装備一式が設定されている。

365日を1時間ごとに採光を計算


JPPでは建築で採光を計るためのシミュレーションソフトを使用。だから365日1時間ごとに、どれだけの光がハウスに入るかを正確にシミュレーションできる。そのうえでパネル配置を決めるから、本気の農家も納得する採光量を得られる。

問い合わせ

日本パワープラント株式会社
埼玉県川口市安行原796-1
TEL:048-299-8182 FAX:048-299-8713


撮影/井ひろみ
取材・文/川島礼二郎

SOLAR JOURNAL vol.34(2020年夏号)より転載

Sponsored by 日本パワープラント株式会社

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