太陽光の廃熱で水を生成! 砂漠で電気と作物を同時に作るシステムが登場!
2022/07/13
再生可能エネルギーの一つ、太陽光発電。太陽光発電を利用することでカーボンニュートラルに貢献できるが、さらにその廃熱を利用することで、水を作り出す研究が進んでいる。どんな仕組みなのだろうか。
メイン画像:本システムのイメージ図、パネル下には生成された水と植物のオアシスが広がる。
生存に不可欠な3要素を
太陽光から生み出す装置
エネルギー、水、食物の3つは生きていく上で欠かせない要素だ。その3要素を全てカバーする研究がある。サウジアラビアのアブドラ王立科学技術大学が開発した空気から水を作るソーラーパネル装置だ。太陽光発電の廃熱を利用している。装置は吸湿性の高いハイドロゲルを使って2通りの仕様で稼働する。
1つはゲルを常に外気にさらした状態。ゲルが夜間に大気中の水を吸収し、日中パネルの廃熱によりゲル内に含まれた水が水蒸気に。気化熱によりパネルは冷却され、発電効率も高まる。もう1つはゲルを夜間のみ外気にさらし日中は密閉するモード。夜間に集まった水が日中に空間内で蒸発することで水が生成される。同大の実験ではこれを作物栽培に用い、空芯菜が育った。今後の資金援助とさらなる研究が進めば世界にとってより良い環境整備につながるはずだ。
密閉された空間で空気中から水が作り出された様子。植物にも供給される。
©Li et al., Cell Reports Physical Science 3, 100781 March 16, 2022
文:守隨亨延
SOLAR JOURNAL vol.41(2022年春号)より転載