脱炭素

日本の再エネ導入ポテンシャルは、あとどれくらい残されているのか?

脱炭素化の要請が高まり、太陽光をはじめ再生可能エネルギーの導入が急がれている。しかし、発電所の開発にあたって適地の選定に苦慮する事業者も多いと聞く。果たして、日本にはどれくらいの再エネの導入ポテンシャルがあるのか? 環境省の資料から読み解く。

事業性を見込めるポテンシャル
太陽光発電は最大6倍の可能性も

環境省は、2009年から再生可能エネルギーの導入ポテンシャルなどについて調査を行ってきた。調査の対象は、太陽光、陸上・洋上風力、中小水力、地熱などの再生可能エネルギーだ。

ポテンシャルと一口に言っても、厳密には「賦存量」「導入ポテンシャル」「事業性を考慮した導入ポテンシャル」の3つがある。このうち注目されるのは、法令などの制約がなく、発電事業の採算が取りやすいとみられる「事業性を考慮した導入ポテンシャル」だろう。

2019年度の推計結果によると、事業性を考慮した導入ポテンシャルは、太陽光で設備容量3,832〜4億622万kWと幅がある。これは、売電価格の低いケースから高いケースまでの3つのシナリオを用いて推計しているからだ。

(再エネの導入ポテンシャルの2019年度推計結果。出典:環境省)

売電価格をFIT価格程度と想定した高位のシナリオでは、もっとも再エネの導入が進むと考えられる。この場合、現在の発電電力量の実績値と比べると、約2倍の再エネの導入ポテンシャルがあると環境省は結論している。

(発電電力量のポテンシャル。出典:環境省)

中でも、もっとも導入ポテンシャルの高いものが洋上風力発電の15,584億kWhだ。その次が太陽光の5,041億kWh、陸上風力の4,539億kWhと続く。太陽光に関していうと、2020年度の発電電力量が791億kWhと速報されているため、約6倍を超える導入ポテンシャルが残されていることになる。

戸建住宅や耕地へ導入の余地あり
荒廃農地も導入ポテンシャル高く

では、どこにそのような導入ポテンシャルが秘められているのか。環境省は2021年度の調査で、太陽光発電のカテゴリーを「建物系」「土地系」に分類して、さらに精緻なシミュレーションを行った。なお、2021年度の推計にはこれまでと異なるデータを用いたとのことであり、単純な比較はできないということに留意したい。

(太陽光の導入ポテンシャルの2021年度推計結果。出典:環境省)

この推計結果によると、建物系では「戸建住宅等」に、土地系では「耕地」に相当量の導入ポテンシャルが残存していると考えられる。また、土地系の「荒廃農地(耕作放棄地)」にも導入の余地があるとされている。

環境省は、2022年4月に「 再生可能エネルギー情報提供システム REPOS(Renewable Energy Potential System)」をリニューアルしており、都道府県別や市町村別に再エネの導入ポテンシャルが確認できるようになっている。

DATA

環境省:再生可能エネルギー情報提供システム(REPOS)


文:山下幸恵(office SOTO)

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