トランプ新政権、「太陽光発電」で雇用創出を狙う!?
2017/02/06
雇用創出で
「米国を再びグレイトに」
トランプ新大統領の選挙公約のテーマは「アメリカを再びグレイト(偉大)に」で、雇用拡大が政権の生命線と位置づけられている。さらに、同氏のエネルギー政策の中核は国内エネルギー生産の拡大とエネルギー自給の確立である。この公約に太陽光発電は実はぴったり「マッチ」するのである。
太陽光ネルギー産業の進展と拡大のため、連邦政府にロビー活動を行う太陽エネルギー産業協会(SolarEnergyIndustriesAssociation:SEIA)で副社長を務めるトム・キンビス氏は、トランプ氏が勝利した翌日に、「太陽光エネルギー産業はしっかりと、ここに留まります」と、トランプ政権になっても太陽光発電産業が揺るぎない地位にあることを、協会のメンバーに伝えた。
2010年から太陽光発電産業の国勢調査を行っている米独立非営利団体ソーラー・ファウンデーション(TheSolarFoundation)によると、2010年には10万人に満たなかった米国全土における太陽光発電産業の就業者数は、2015年時点では123%増しの20万8千人を超えるまでに成長した。さらに、同団体によると、2015年において新規雇雇用創出用創出の83件のうち1件は太陽光発電関連の雇用であったそうだ。それは、2015年に全米で創出された雇用の1・2%にも当たる。
太陽光発電産業の就業者数は国内の石油、ガス、石炭などの化石燃料産業よりも大きい。それは、太陽光発電産業が政治的に重要な「有権者」としての位置付けを持つことを意味する。SEIAでコミュニケーション部副部長を務めるダン・ホワイティン氏も、 雇用創出に貢献するソーラー産業を米国の「経済エンジン」であるとし、連邦政府は(ITCを撤回して)その勢いを止めるようなことはしないだろうと語った。
トランプ新大統領は地球温暖化に対して懐疑的と言われているが、「国家のエネルギー自給の強化」「競争力の強化」さらに「高賃金の労働者層の創出」には関心が高い。太陽光発電は、トランプ氏が目指す国内の雇用拡大、さらにエネルギーの安全保障に貢献することができるのだ。
さらに、以前は地球温暖化対策の国際的な新枠組みである『パリ協定』への数十億ドルに上る支払いを止め、国内の水と環境インフラの整備に充てると、米国をパリ協定から離脱するのかにように発言していたトランプ氏だが、現在は「注意深く検討している」と、この件について「オープン」な見解に変わってきた。今後も同氏によるグリーンエネルギーに対する理解・支持の拡大に期待できる。
取材・文/モベヤン・ジュンコ