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石川県の過疎化、地熱による地域活性化の可能性は?

高齢化と過疎化が進む、石川県白山市。そこで地熱による地域活性化が模索され、地元の企業や商工会などが中心となって「白山市地域地熱資源開発調査検討協議会」が立ち上がった。経済産業省の補助事業として地熱資源開発の可能性が探られている。

石川県白山市で「地熱資源と白山の未来シンポジウム」が昨年11月に開催され、私はパネルディスカッションのコーディネーターとして参加させていただきました。白山市は若い世代が減って高齢化と過疎化が進んでおり、地元の将来が懸念されています。そこで地熱による地域活性化が模索され、2014年度に資源エネルギー庁の支援を受け、地元の企業や商工会などが中心となって「白山市地域地熱資源開発調査検討協議会」を立ち上げました。それから3年間にわたり、経済産業省の補助事業として地熱資源開発の可能性が探られています。

協議会では14〜16年度の3年間、地熱の実証事業と理解促進関連補助事業を続け、地熱活用の可能性を調査してきました。3年目には、「地元を盛り上げたい」と声を上げてくれた金沢大学の学生を交え、地熱発電以外の事業展開も検討されました。地熱を使った融雪に加え、ビニールハウスなどの栽培・養殖事業、またエコツアーをメインにし、温泉地に長い足湯を作るといった観光事業の可能性が報告されました。

ただ、白山の地熱がある場所はV字型の地形になっており、開発の際の調査や工事が難しいそうです。そのため、地熱資源のポテンシャルはありますが、お金がかかります。今後はボーリング調査を行うため、今年4月に向けて石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)への調査事業費助成申請の準備を進めています。この申請には自治体との連携が必要です。

ボーリング費用はケースバイケースですが、一般的にボーリング費用は約1億円から2億円くらいとされ、結果が出るまでに2年ほどかかるなど、多額のコストが発生します。費用捻出は地元の力だけでは難しく、補助金の手続き上も、これからの開発推進においても、自治体の協力は不可欠なのです。しかし、実はまだ、この協議会には市が参加していないことが課題の1つにもなっています。もし助成申請が通れば、9割が補助されるそうなので地元負担を軽減できます。

地熱発電におけるコストの問題は大きく、FIT開始から数十カ所は大規模開発に向けた調査は始まりましたが、期待されていたほど進みませんでした。地熱発電所を建設する構想があり、ボーリング調査までして建設中止になるケースもあり、「地熱発電は厳しいのでは」という声もあるのは事実です。

現在、日本の地熱発電のポテンシャルは2300万kWと言われていますが、実際には全国17カ所でわずか54万kWしか稼働していません。現状の3倍にするため、JOGMECも助成に力を入れているようです。白山市がボーリング調査に進めるのを期待しております。


東京大学 教養学部 客員准教授
松本 真由美氏

報道番組の取材活動やニュースキャスターを経て、現在は東京大学教養学部での教育活動を行う一方、講演や執筆など幅広く活動中。NPO法人・国際環境経済研究所(IEEI)理事。


取材・文/大根田康介

※「SOLAR JOURNAL vol.20」より転載

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