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お寺にソーラー!? NIPPONの新しい価値観

東京都中野区にある真言宗豊山派福蔵院。歴史ある寺への太陽電池の設置に、反対する意見はなかったのか。また参詣者の反応はどうなのか。関係者に話を聞いた。

寺院・緑・ソーラーパネルの調和
共感が与えた勇気と確信

門をくぐり、手入れが行き届いた境内を眺めながら歩を進めると、ほどなくして目に入ってきたのは荘厳な本堂と屋根に敷き詰められたソーラーパネル。寺院と緑、そしてソーラーパネルが調和した光景がそこにあった。

西武鉄道新宿線・鷺ノ宮駅から、徒歩数分ほどのところにある福蔵寺。創建は大永元年(1521年)。本堂の他に山門や鐘桜、死後の忌日をつかさどる十三仏などがあり、弘法大師ゆかりの寺院で構成する御府内八十八ヶ所霊場の14番札所となっている。

約500年の歴史を持つこの寺院が、屋根の葺き替え工事を機に、本堂へのソーラーパネルの設置も行ったのは2009年のこと。それまでも、目立たない場所にある客殿や庫裏の屋根には導入してきたが、仏教の歴史を象徴する本堂への設置には、「荘厳さが損なわれるのではないか」という迷いもあったという。

しかし、星野英紀住職が総代会に提案したところ、「社会的課題の解決に、寺がリーダー的な役割を担うのは良いこと」「誇りに思う」など圧倒的な賛成を得て、実現することとなった。

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本堂の屋根にソーラーパネルを設置するということは、寺を訪れる外部の人の目にも触れることになる。環境への負荷を少しでも減らしたい、という思いは、参詣者にも伝わっていた。

ある外国人の参詣者が寺を訪れた時、「これは素晴らしい。ソーラーパネルを設置している寺を見たのは初めてだ」となどと感動の声をあげ、大いに讃えたという。このエピソードについて、住職の妻・篤子さんは、大事にしまっていたその外国人の名刺を手に取りながら教えてくれた。

以前から、地元小学校の自然学習「緑の探検」に協力し、境内にある木々の名前を生徒たちに教えたりするなど、自然環境問題について積極的に関わってきた。それだけに、ソーラーパネルの設置に対するこうした参詣者の評価は、星野住職と篤子さんを改めて勇気づけるとともに、この取り組みの意義深さを確信させてくれた。

現在は、本堂、客殿、庫裏と従業員住宅の屋根の計4ヶ所にソーラーパネルを設置している。篤子さんは、「私たちは、化石燃料を使ってCO2を排出する存在。環境への負荷を少しでも軽くするため、自分たちにできることは何でも努力して取り組んでいきたい」と、今後の抱負を語ってくれた。


写真/伊原正浩
取材・文/具志堅浩二

※『SOLAR JOURNAL』vol.14 より転載

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