産業用燃料電池市場に、あのブラザーが新規参入!
2018/03/29
2015年のパリ協定締結以降、世界中の様々な企業が、CO2フリー社会の実現に向けて取り組みを始めている。ミシンやプリンターなどで有名なブラザー工業も、燃料電池の受注を開始した。
脱炭素社会の実現に貢献する
燃料電池4.4kWモデル受注開始
世界規模で進む、温室効果ガス排出ゼロに向けた取り組み。日本でもCO2排出量を、2030年度に2013年度比-26.0%にすることを目指している。
近年、CO2を排出せずに発電できる水素活用への期待が高まっているが、現状では燃料電池車やエネファームのような家庭用燃料電池コージェネレーションシステムなど、限られた分野での活用に留まっている。今後の普及の広がりには、産業分野での活用が不可欠だ。
家庭用・工業用ミシンやプリンター、複合機などの大手企業でもあるブラザー工業は、産業・商用施設向け燃料電池市場に正式参入。第一弾として出力4.4kWの燃料電池「BFC4-5000-DC380V」の受注を開始した。
従来の燃料電池をさらに改良
その特長は?
まず、特筆すべきは高い安全性。万が一、燃料電池内で水素が漏れても、水素センサーや圧力センサーで検知して水素を遮断、換気して水素をためないという3重の安全構造を採用。燃料電池の外へ水素を漏らさない。
また、水素と酸素が反応すると、水と電気が発生する。しかし燃料電池の性質上、水素の何割かは反応しきれず、反応しきれなかった水素は水と一緒に排出される。しかし、ブラザーの燃料電池は、水素と水が混在した状態から水素のみ取り出して再利用することで、より効率の良い発電が可能になる。この気液分離と水素循環システムにより、次の3つのメリットが得られる。
水素循環システム
1.ハイパワー
同じサイズの燃料電池と比較して、2倍の電流量を発電することが可能。
2.安定した発電
災害時などでは電力復旧に72時間かかるといわれているが、長時間にわたり安定して発電することができるため、非常用電源として有効。
3.応答の速さ(高い負荷追従性)
電力消費の高いモーターなどを稼働し、急激に電力消費量が上がった場合でも、蓄電池不要で素早く応答し、電力を供給することができる。
さらに、IoTを使ったモニタリングサービスにより、遠隔地から燃料状況や発電状況などを把握することができる。IoTが導入されていない既存の発電機と比べ、維持・管理の負担を軽減できる。
「脱炭素社会・水素社会の実現」という大きな目標に向けて、最新の燃料電池を開発したブラザー工業。2018年度中に第2弾製品の発表を予定している。