太陽光発電を犯罪から守る!プロが語る防犯対策とは?
2018/05/30
地域住民の理解と
メンテナンスは不可欠
袋:私たちリアルヴィジョンは、会社設立時から防犯カメラを扱っています。私には子供がいるのですが、毎日無事に帰ってくるかが心配でした。また、交通事故や犯罪を防ぐことについて真剣に考える親が少ないことにも気づきました。社会全体の防犯意識を高めていくことを目的に会社を立ち上げました。
袋雅和氏
株式会社リアルヴィジョン 代表取締役
内装工事や不動産業界での経験を経て、太陽光発電システムやセキュリティ工事を手掛けるリアルヴィジョンを2011年設立。 電気工事および太陽光発電システムの提案、各種申請業務、施工、メンテナンスを一貫して行う。
梅本:犯罪が起きにくい環境づくりをすることが重要であり、その中でも防犯意識を持つ人が一人でも多くなることが最も効力のある防犯対策です。その一方で犯罪者側の手口や思惑を学ぶことも大切ですが、なかなか一般の方が学ぶ機会はありません。私は50年以上も防犯に携わり数々の事件現場を見てきましたので、犯罪者側の手口や思惑を熟知しています。そうした観点から、袋さんにアドバイスをさせていただいています。
袋:ありがとうございます。日本のエネルギー自給率を上げるために、太陽光発電はどうしても必要です。でも、それが犯罪を招いてしまうのでは本末転倒ですよね。
太陽光発電所を施工する際に地域住民の方へご挨拶に伺うと、「何だ。発電所か」と肩を落とされてしまう場合があります。残念ながら、太陽光発電所は地域住民の方にとって「良いもの」とは未だに認識されていないんですね。
しかし、防犯という観点からも、近隣の方との良好な関係づくりは欠かせません。たとえば、少なくとも年に1回は発電所に行って近隣の方にご挨拶をしておくなど、コミュニケーションを取っておけば、何かトラブルがあった時にすぐにご連絡をいただけたりもします。それが一番の防犯になります。
梅本:全くその通りですね。太陽光発電所が地域住民にとって「良くないもの」と思われているままではいけません。ですから、少なくとも防犯に関しては、太陽光発電業界全体でもっと重要視していく必要があると思います。
袋:仰る通りだと思います。そして、防犯ももちろんですが、そもそもメンテナンスが義務化になったにも関わらず、管理がおろそかな発電所も多いです。
盗難被害に遭いやすいメガソーラーはもちろん、低圧の太陽光発電所においても、様々なトラブルが発生しています。このままでは、FITの買取期間が終わったら放置される発電所も増えてしまうのではないでしょうか。そうなれば想定外のトラブルや犯罪も増えるでしょう。
当社では、O&Mサービスの提供も始めました。設備メンテナンスはもちろん、FPによる節税対策のアドバイスや近隣住民とのトラブル時に弁護士に相談できるサービスなど、独自のプランも用意しています。
日本の未来、自分の子供たちに何を残すのか。太陽光発電業界は、それを問われる時代が来ました。地域を守る防犯が、それを考える一歩になればと願っています。
防犯対策工事も!
リアルヴィジョンのO&Mパック
メンテナンス不備の太陽光発電所を数多く目の当たりにした袋社長が、満を持してO&Mサービスをスタート。
4つの基本項目に加えて「節税対策」と「弁護士相談」という2つの独自サービスがある。想定以上に発電した場合、収入は増えるが税金も増える。将来、子供に発電所を託す場合には、贈与税または相続税が課せられる。そんな場合に備えて、全国各地の税理士や ファイナンシャルプランナーに相談が可能だ。
また、発電所設置の悩みの種が近隣住民とのトラブルだ。発電所は必ずしも地域で歓迎されているわけではない。さらに防犯という観点からも、地域住民の協力は必須だ。クレームなど万が一に備えて、弁護士と無料で相談できる体制を整えた。
DATA
東京都中央区日本橋小伝馬町13-5 アソルティ日本橋小伝馬町9階
TEL:03-6231-1077
撮影/伊原正浩 取材・文/大根田康介
『SOLAR JOURNAL』 vol.25より転載