低圧オーナー必読! 太陽光発電所の「O&M」で考えるべきポイント
2018/08/01
徹底した現場主義で
トラブルを防止する
FITの恩恵によって急速に広まった太陽光発電だが、これまで設置基準が緩かったため、とかくトラブルが付きまとうのも現実だ。
例えば、太陽の反射光や景観破壊、隣の敷地への雑草の侵入やゴミの飛来など、あらゆる住民からのクレームがある。同社は顧客であるオーナーを伴い、菓子折りを持参して謝罪に行ったこともある。この時は無事に和解したが、「やはり普段から住民とのコミュニケーションが大事だ」と袋氏は話す。それでも解決しなければ、弁護士介入もありうる。
また、既設で施工に問題がある発電所も多数散見された。例えば、野立て型で明らかに風圧に耐えられないと思しき構造の架台があった。配管も、業者の「見えなければいい」という思惑が透けて見えるような、手抜き工事も見つけた。
O&Mで見落としがちな4つのポイント
①相続税など税金対策
太陽光発電所を「資産」として捉えた場合、 税に対する対策は必須。特に発電所を次世代に引き継ぐ際の相続税などは見落としがち。他にも想定しておくべき節税対策は、たくさんある。
②「資産運用」も20年間
太陽光発電所は大きな資産。目先の利回りだけを追うのではなく、20年間しっかりと運用していくためには、管理やトラブル防止、資産価値の向上といった「資産運用」が重要だ。
③近隣との関係が資産価値を左右する
近隣住民との間でトラブルや事故が発生すると、太陽光発電所の運用自体が危ぶまれる事態も考えられる。近隣環境へ十分に配慮し、良好な関係を築いておくことが、資産価値の維持につながる。
④発電しなければ価値は下がる
太陽光発電所は、あくまで発電所。十分な発電量が確保できなければ、売電収入が減るのみならず、資産価値も下がってしまう。価値を維持・向上させるためにも、適切なO&Mが求められる。
こんなにある! O&Mで考えておくべきポイント(一例)
●施工不良が見つかったとき、「誰が」「どのように」改修するのか
●不具合が発生したとき、「誰が」「いつ」「どのように」対処するのか
●20年間のメンテナンスは「誰が」「何を」「どのような頻度で」行うのか
●個人名義で所有している場合、「相続税」は「誰が」「いくら」支払うのか
●近隣からクレームがあったとき、「誰が」「どのように」対応するのか
●発電所内で事故があったとき、「誰が」「どのような」責任を取るのか
●発電設備の盗難を防ぐためにどのような防犯対策を行うのか
●FITの買取期間終了後、発電所をどうするのか
●メーカー保証終了後の不具合にはどう対処するのか
こうした徹底した現場主義が、同社のO&Mパックサービスの根幹にある。「別に目新しいことはない。私が経験してきた不動産業界では当たり前のことが、太陽光発電業界でできていないだけ」と、袋氏は謙虚な姿勢だ。
問題が表面化してからでは遅い。今の内に、真のO&Mを導入しておく必要がある。
●定期メンテナンス
●緊急駆けつけ対応
●資産運用アドバイス
●標識の無料設置
●各種情報提供
●弁護士相談対応
自分の子供たちに発電所=資産をどう残すか。メンテナンスだけでなく、全国各地の弁護士やファイナンシャルプランナーなど専門家の力を合わせてオペレーション能力を向上させ、長期投資としての資産運用を支える。
問い合わせ
東京都中央区小伝馬町13-5 アソルティ日本橋小伝馬町9階
TEL:03-6231-1077
取材・文/大根田康介
SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載