卒FITビジネスが熱い! 電力買い取りや蓄電池システムに注目すべき理由は?
2019/08/09
卒FITをターゲットに、新たなビジネスが産声をあげている。その筆頭が、卒FIT電力の買取サービスだ。自家消費ニーズの高まりを受けて、蓄電システムにも様々な提案がみられる。電力買取と蓄電をセットにしたサービスも真新しい。これまでにない企業同士の連携にも注目が集まる。
卒FIT電力の
買い取り現状は?
卒FIT電力の買い取りについては、新電力各社が続々と参入を表明している。しかし、具体的な買取価格を発表している会社は、まだ少ない。大手電力の買取価格が出そろっていないので、様子見をしている状況にあるようだ。大手電力の新メニューが出そろう6月以降、いっきに価格が公表されることになるだろう。
こうした状況にあって、2月28日に早くも価格を公表したのがソーラーフロンティアと昭和シェル石油(現・出光興産)だ。九州エリア7.5円/kWh、その他のエリア(沖縄を除く)8.5円/kWhという金額を打ち出して注目を集めた。太陽光パネルメーカーであるソーラーフロンティアの卒FITユーザーを囲い込むことで、同グループの電力供給サービスにも活かしていきたいところだろう。同グループでは、卒FIT太陽光から調達した電力を活用する「CO2低排出電力プラン」も提供していく考えだ。
NTTスマイルエナジーは、同社の太陽光遠隔監視システムを設置している顧客など卒FIT電力を新電力のエネットにまとめて供給する。エネットは、その電力を環境にやさしいグリーンメニューとして、RE100(事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを目標に掲げる企業の国際イニシアチブ)加盟企業などに販売していくという。
NTTスマイルエナジーとエネットの電力買取・販売スキーム 出典:NTTスマイルエナジー
卒FIT電力に乗り出す
数多くの企業
卒FIT電力に手を伸ばすのは、既存の新電力や太陽光関連企業だけではない。住宅メーカーである積水ハウスも、卒FIT電力の買い取りを表明した。買取対象を積水ハウスオーナーの太陽光発電だけに限定し、集めた電力は自らの事業用電力として使っていく計画だ。同社は日本の建築業界として初めてRE100に加盟した企業。卒FIT電力は、FIT電力とは違い、純然たる再エネと認められるので、再エネ調達比率を高めたいRE100企業には魅力的な電源なのだ。
卒FIT電力を自社事業用電力として活用。事業用電力のコストは、卒FIT買取単価に加え、託送料等を加えた金額になる。 出典:積水ハウス
同じくRE100企業であるイオンは、中部電力と提携する。中部電力が卒FIT電力を買い集め、イオンはそこから電力を調達し、店舗運営における再エネ比率を高めていくという。卒FIT電力を、イオンの「WAONポイント」と交換できるというのもユニークだ。
4月15日、卒FIT電力買取サービスを発表した積水化学工業は、蓄電池の有無で買取価格に変化をつけた。太陽光パネルのみの場合は9円/kWh、太陽光パネルと蓄電池がセットの場合は12円/kWh。価格差を設けることで、蓄電池のある暮らしを広めていきたい考えだ。なお、買取対象はセキスイハイム邸の卒FIT電源。電力販売先は積水化学グループ工場および他のセキスイハイム邸となる。買い手と売り手を自社ネットワーク内に限定することで、高い買取価格を実現しているといえるだろう。