編集部からのお知らせ

グッチ 自社とサプライチェーンの「カーボンニュートラル」目指す

ファッション業界でも、持続可能な成長に配慮した経営の流れが強まっている。世界的ブランド、グッチが9月13日、自社とサプライチェーン上の温室効果ガスを完全オフセットすると宣言した。脱炭素化に向けた新たな起爆剤となりそうだ。

サプライチェーン全体で
「カーボンニュートラル」へ

9月13日、ファッションブランドのグッチが、自社及びサプライチェーンの事業活動における温室効果ガスの排出を、年次ベースで完全に「オフセット」すると発表した。「オフセット」とは、事業活動の中で発生した温室効果ガスを、直接的、間接的な手段で埋め合わせるという考え方だ。温室効果ガスの排出削減努力が前提で、その上で削減できない排出量に対し、削減に相当するクレジットの購入や、削減活動への投資などを行い相殺する。

具体的には、製造から販売までのプロセスで、ショップ、オフィス、倉庫などの再生可能エネルギー使用量を現在の70%から、2020年までに100%に引き上げる。製造工程で使用する水や化学物質、輸送時の温室効果ガスの削減にも努めるという。製造中に発生する生地の端切れなどをアップサイクルする「GUCCI-upプログラム」は継続、拡大する。

グッチ社長兼CEOのマルコ・ビッザーリ氏は同日、twitter上でこうコメントしている。「回避、削減 、回復 、オフセットするというロジカルな施策を通じて『カーボンニュートラル』を再定義するという私たちの取り組みを、あらゆる産業のCEOに行動を促す声として受け取ってほしい。今こそ企業が結集して行動を起こすことが求められている」


GHGを年次でオフセット
「環境損益計算書」で定量化

グッチを含むコングロマリット・ケリングは、2012年から会計報告のひとつに年次環境損益計算書(EP&L)を導入した。ケリングには他に、サンローラン、バレンシアガ、ブシュロンなどを保有し、すべてのブランドでEP&Lを作成している。

EP&Lでは、自社事業及びサプライチェーン全体で環境負荷を測定し、その金銭的価値を計算する。原材料、処理、製造、アセンブリ(組立)、小売などの行程において、炭素排出、水の使用、水質汚染、土地の使用、大気汚染などの項目を調査。その調査結果を金銭的価値に換算するため、どの行程に環境負荷の要因があるかわかりやすいのがメリット。目的は、天然資源の使用を定量化することだ。

2015年のEP&Lによれば、サプライチェーン全体の環境コストは、総額で8億1120万ユーロ。このうち90%以上が、サプライチェーンで発生したものだ。今回の発表はサプライチェーン全体の温室効果ガスの発生に対し、より踏み込んだ対策をとるという、強い意思表示となる。


DATA

グッチ


文/山下幸恵

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【第7次エネルギー基本計画の原案公表】40年度に太陽光は22~29%程度、風力は4~8%程度...
  2. 【経済産業省】FIT案件への制御が増加し、FIP案件への制御が大幅に減少の見通し...
  3. いつまで続けるのか、ガソリン補助という愚策
  4. 【参加受付中!】2025年1月29日(水)「第32回PVビジネスセミナー」
  5. 【環境省】「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」に対するパブリックコメント...
  6. 【実証実験】横浜市が次世代型太陽電池の実証実験を開始‼
  7. 資源総合システム「太陽光発電海外市場レポート 2024年版」を発行
  8. 【閣議決定】住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案が閣議決定。3省が連携して支援する...
  9. 【東京都の助成】次世代型ソーラーセルの実証事業に対して4000万円までを助成...
  10. 専門家に聞いた! 日本に「垂直ソーラー」が必要な理由とは?
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.51 | ¥0
2024/10/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ