【インタビュー】モジュールメーカーのエグセクティブに聞く! 日本市場の展望とは
2019/10/21
量ではなく品質を追求
「20年間の品質保証」で“FIT後”のニーズに応える
上海航天汽車機電株式会社
当社は1998年に設立しました。中国では1960年代から航天分野の研究を始めています。当時の「航天」は主に衛星技術の研究を意味しましたが、当社はそれを宇宙飛行技術の工業化に昇華させました。この分野で中国初の上場企業であり、2000年からは新エネルギーの領域にも進出しています。
「製品の“量”ではなく“品質”を追求する」というのが当社の理念です。取引先が求める「20年間の品質保証」を心がけてます。例えば、2000年に製造した製品が、チベットの厳しい環境下でもいまだに発電を続けています。しかも製造当時とほぼ同じ発電量を維持しており、これは当社の誇りです。顧客へのサポートも充実させ、場合によっては資金問題の解決にも寄与しています。
将来は海外市場での展開に力を入れ、特に日本市場を重視しています。日本での事業は既に始まっていますが、さらなる拡大を目指して努力を続けきます。
一方、中国では、新エネルギー事業の環境変化を考慮して事業の縮小も視野に入れています。その分、南アメリカやアフリカといった各エリアの環境に沿った戦略を構築し、海外での採用を増やす見込みです。
日本市場はFITが終了に向かう中、“安定期”に入るとみています。当社の20年間品質保証を生かして、クライアントの要望に最大限応えていきたいと思います。
PROFILE
上海航天汽車機電株式会社
総経理
吳 昊氏
ガラス不使用で薄くて軽い
多用途で充電機能も兼ねる
SunMan
私は日本市場については非常に楽観的です。なぜなら、日本では商業施設の屋上での太陽光発電がまだ少ないですし、住宅でも未施工の割合が約8割ともいわれているからです。そのため、これからは分散型市場へとシフトしていくでしょう。だから市場は再び回復すると思っているのです。
当社が日本での展開を早期に始めた理由はまさにそこにあります。忍耐強く投資して市場を育てる必要はありますが、良いタイミングでの参入だったと確信しています。
当社は2014年設立で、ガラスに代わる特殊なポリマーベースの複合材料を開発し、ガラス不使用の軽量な単結晶シリコン太陽電池モジュールを製造しています。4年以上の期間を経て、厚さわずか2ミリ、1平方メートル当たり2.5キログラムという非常に軽量なパネルを実現しました。
2年前から日本でマーケティングと販売を行っていますが、当社の製品は幅広い用途に適しています。軽量で非常に薄いため、特に金属屋根への設置に適しており、重い負荷をかけられない商業施設の屋上で活躍しています。
モバイル性にも優れており、例えばアパートで生活する場合、この折りたたみ式の格納式太陽光発電システムとバッテリーをベランダで利用することができます。軽量なため、電気自動車のルーフや表面にも設置でき、新たな充電機能としても利用できます。
PROFILE
SunMan
Founder
Dr.Zhengrong Shi氏
ヘテロ接合技術で高効率を実現
1500人増でさらなる成長へ
EkoRE
当社は2012年末に設立したモジュールメーカーですが、設立以前はCSVという太陽光発電技術を使っていました。トルコ政府からの後押しもあり、現在は「ヘテロ接合技術」を用いたモジュールを開発しています。
ヘテロ接合とは、半導体同士の結合の接合面に生じる欠陥を減らして、変換効率の低下を防ぐ技術です。当社はこの効率の高さに注目し、23.5%という世界最高水準の高効率を実現しました。他のパネルに比べて高価である点については、スイスやドイツの企業から技術を借りて技術を向上させ、今後はより安価な製品を提供できるようになる見込みです。
日本市場は近い将来、当社のメインマーケットになると考えています。なぜなら、日本のユーザーは技術に高い関心を持っており、モジュール選定の際に価格よりも効率性が重視されるからです。
日本以外にも、中国、カンボジア、タイなど、アジアにはたくさんのビジネスチャンスがあると思います。今後は中国人や日本人、ヨーロッパ人の専門家も雇用して1500人を増員し、さらにグローバルで活躍していきたいですね。
私はトルコ人ですが、その前に一人の地球人です。いつもその国の文化や人々を尊重するようにしています。それが成長の鍵だと思っています。
PROFILE
EkoRE
CEO
H. Serhan Suzer氏
SOLAR JOURNAL vol.30(2019年夏号)より転載