ロックバンドが語る環境問題への配慮、夢は「太陽光発電でライブを行うこと」
2020/05/19
イギリスのロックバンド、コールドプレイは、バンドの利益の一部を慈善団体に寄付したり、フェアトレードを支持したりと、社会問題に積極的に取り組んできた。そんな彼らが環境問題への活動を本格化する。
サスティナビリティを追求
新アルバムツアーは保留へ
昨年11月に8枚目のスタジオ・アルバム「エヴリデイ・ライフ」をリリースしたのと前後して、コールドプレイはサステナビリティが約束されない限りツアーをしないと発表した。
BBCのインタビューでフロントマンのクリス・マーティンは、「(ツアーが)カーボンニュートラルでなかったら、俺達はがっかりするだろう」と話し、コールドプレイは、サステナビリティなだけでなく、環境にも有益なツアーにするにはどうしたらいいかを考えたいとしているともコメントした。
コンサートツアーは、メンバーの移動だけでも大量の炭素が排出される。無名バンドならその規模は小さいが、コールドプレイほどの大物になれば、バンド、スタッフ、観客、セットの大移動で相当な量になる。おまけにツアーに伴うグッズの製作、その輸送を考えると計り知れない。また、大量のプラスティック製品がゴミとして発生する。
プラスティック製品を使わず、
太陽光発電でライブを
前回の世界ツアーとなった2016年から17年の「ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ」ツアーでは、五大陸で100公演を行ったコールドプレイ。どれだけのゴミが出たかは分からないが、「俺達の夢は、1つもプラスティック製品を使わず、太陽光発電でライブを行うことだ」とクリスはBBCに話す。
また、音楽雑誌NMEにクリスは、アルバム「エヴリデイ・ライフ」自体、環境に対するバンドのメンバーの気持ちを反映させたものになっているとコメント。それゆえに、通常のツアーのやり方では環境問題を加速するだけなので、同アルバムのライブについては、環境問題に配慮したやり方で行いたいと考えているようだ。
「俺は長年、サステナビリティを提唱する太鼓を鳴らしてきた。ほかのアーティストも乗ってくれれば嬉しい。それはとても苦労を強いられることだけど、俺は面の皮が厚いから大丈夫」とクリスは同誌に語っている。
コールドプレイは、世界ツアーを行う代わりにヨルダンでライブをし、その様子をYouTubeで無料配信した。また、ロンドンの自然史博物館でもパフォーマンスをし、全利益を環境関係のチャリティーに寄付したとBBCが伝えた。
そんな中、1月18日にはロサンゼルス郊外で開催されたラジオ局主催のライブイベントに出演し、20日と21日にはハリウッドで単独ライブを行った。環境に優しいライブとはどんなものなのか興味津々だ。
PROFILE
クリス・マーティン
1997年にロンドンで結成されたイギリスの国民的ロックバンド「COLDPLAY」のボーカルリスト。2000年に発表したデビューアルバム「パラシューツ」が大ヒットし、世界的ロックバンドへ。全世界トータルセールスは1億枚以上を記録している。
取材・文:はせがわいずみ
SOLAR JOURNAL vol.32(2020年冬号)より転載