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再エネビジネスは次のステージへ! 「再エネ経済創造プラン」が始動する

新型コロナからの経済復興において、気候変動対策も合わせて進める“グリーンリカバリー”がいよいよ動き出す。再生可能エネルギーの主力電源化を目指し、競争力の強化に向け議論が白熱する。

FITからの独立で新たな段階
新ビジネスの誕生にも期待

7月17日、梶山経済産業大臣は「再エネ経済創造プラン」について言及した。産業としての再生可能エネルギーの競争力強化、それを支えるインフラの構築、地域社会と共生する仕組みづくりという3つの面から政策の検討を進める。再生可能エネルギーの主力化を早期に実現したい考えだ。

これを受け7月22日に開かれた有識者会議では、再エネ型経済社会の創造に向けた検討がスタートした。6月にはFIT(固定価格買取)制度からの自立を促すエネルギー供給強靭化法が成立し、議論は新たなステージに突入した様相だ。

再エネ産業がさらに競争力を持つものに成長するには、アグリゲータービジネスの活性化が欠かせない。太陽光発電や蓄電池といった各地にバラバラに存在する分散型電源を統合し、需要に合わせてコントロールするのがアグリゲーターの役割だ。こうした分散型電源から系統に流れる電気、いわゆる逆潮流の活用についても検討が求められる。

そこで重要になるのが、需給一体モデルと呼ばれる自家消費スタイルの拡大だ。これを住宅分野でも推進するため、ZEHに加え蓄電池やV2Hを搭載したZEH+などの普及促進策についても言及された。ZEHとはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの意味で、年間でつくるエネルギーが消費エネルギーを超える住宅を指す。

未稼働案件の認定失効制度
2022年4月が分岐点となるか

発電所オーナーが注目すべき、未稼働案件の認定失効制度についても触れられている。以前の高い調達価格の権利を有したまま、長期間運転を開始しないでいる未稼働案件が増え、問題視されていることを受けたものだ。

失効期間などの詳細な設定はこれからの議論となるが、電源種を問わずすべての案件が対象となる見込み。事業者に実施判断を迫り、一定期間を経過しても事業が開始されなければ、FIT認定が取り消されることになりそうだ。これにより系統の空き容量を確保し、新規の発電事業者の参入を促す意図がある。

未稼働案件については、2017年4月のFIT法改正と2018年12月の追加措置によって認定の失効や調達価格の引き下げなどが行われてきた。しかし、それでもなお国民負担の増加や新規事業者が系統を利用する際の阻害リスクなどがあるとされ、今回さらなる対処が検討されている。

新たな制度では、FIT法改正のタイミングである2022年4月に、認定を受けて運転を開始していないすべての案件が対象となりそうだ。さらに2022年4月以降に認定される案件と、それ以前に認定された案件とで、失効期間を分けて設定する見込みだ。

DATA

電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会(第18回) 基本政策分科会 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(第6回)合同会議


文:山下幸恵(office SOTO)

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