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質問! 再エネって、 今どうなってます?【バイオマス編】

「ネクスト再エネ?」と有識者に聞くと、「バイオマス」と答える人が非常に増えている。バイオマスは、間伐材など本来捨ててしまうものを利用してエネルギーをつくる再生可能エネルギーだ。

森林蓄積量は約49億m³
カスケード利用がカギに

地域を活性化させる地産地消のエネルギーとしてバイオマス発電への期待は大きい。FITに認定されたバイオマス発電は2015年12月末時点で300件以上にのぼる。今後は新たに2MW未満と、現在主流の5〜6MW規模は一定の件数が出てきそうだ。さらに数十MWの大型は石炭火力やPKS(輸入ヤシ殻)などバイオマス混焼燃料タイプが増加することが見込まれる。

バイオマス発電は再生エネといっても燃料は有限であり、一定の範囲内から長期間、大量に安定して安価に燃料バイオマスを確保する必要がある。メリットとしては、電力を安定的に供給でき、地域の木質バイオマス燃料を活用することで地元にも利益をもたらすことができる。雇用の創出など地域経済の活性化や森林整備に寄与できる。

日本木質バイオマスエネルギー協会の川越裕之専門調査員は、「日本は国土の3分の2が森林、その約4割が人工林だ。森林資源を示す森林蓄積量は約49億m³と30年前から倍増するほど充実しており、毎年8000万m³増加している。しかし森を整備するために伐採した間伐材などの木々は収集・運搬コストがかかることから山に放置されるものも多く、ほとんど利用されていないのが実情だ」と説明する。今後、間伐材、林地残材の運搬には建材と一体となった路網整備が必要で、木材のカスケード利用がカギとなる。木材のカスケード利用とは、1本の木から家や家具の原料となる建材や、紙の原料となる低質材、ボイラーなどの燃料となる木質バイオマスなど最後まで余すことなく使いつくすことだ。

また2MW未満の未利用木質バイオマス発電は、FITの買取価格40円/kWhと他のバイオマス分野よりも高い価格となっていることから注目が集まっている。小規模バイオマス発電事業の企画・コンサル企業のZEエナジーの松下康平社長は、「林業の人材不足を解消することが、小規模木質バイオマス発電の普及には必須だ。林道整備や専用の機器導入には行政と協力していかなければ進展しないだろう」と語る。

さらにバイオマス発電の事業化では地域金融機関が大きな役割を担う。NPO再エネ事業を支援する法律実務の会代表の水上貴央弁護士は、「まず、事業を成功させるために専門家や用地所有者などとのとりまとめを担うのが金融機関だ。さらに市民ファンドの出資者や公共基金は一般的に支配株主とはならないので、金融機関が彼らに代わって事業が健全に行われているかや地域貢献が確実に実践されているかなどを監視する必要がある」と強調している。


文/南野 彰

※『SOLAR JOURNAL』vol.17より転載

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