“モジュール単位”で購入して自家消費を楽しもう!
2016/12/07
ソーラーガーデンにプレミアム買取価格がつくバーモント州
このネットミータリングは、ソーラーガーデンにも採用されている。バーモント州を例にとって説明しよう。バーモント州はカナダとの国境沿いにある東海岸の北部に位置しており、ニューヨーク州の東側にあるとても小さな州だ。最新の太陽光発電市場レポート(※)によると、2014年度におけるバーモント州の太陽光発電導入量は38MWで、全米18位にランク付けされたそうだ(ちなみに、太陽光発電導入量ナンバーワンのカリフォルニア州は、同年に4316MW設置した)。
太陽光発電導入量では他の州に大きく引けを取るバーモント州だが、数年前からソーラーガーデンの普及・導入を行っている。バーモント州に拠点を持つプロジェクトディベロッパーのソブリン・ソーラー社は、今まで計6ヶ所にソーラーガーデンを開発・設置してきており、現在も同州の5ヶ所で中規模のソーラーガーデンを建設中だ。昨年も、同州ノーススプリング地域で150 kWのソーラーガーデンを建設しており、この地域のエリアを管轄するグリーンマウンテンパワー電力会社から電力を購入しているという条件を満たせば、誰でもモジュールの購入が可能になる。これにより、自宅の年間消費電力の100%に匹敵するだけの発電ができるようになるのだ。
ソブリン・ソーラー社の社長ピーター・スレル氏によると、モジュールは1 kW当たり、年間約250ドル分の電気を発電するそうだ。つまり、電気料金を年間1500ドル支払っている電力消費者が、6 kW分(250ドル×6枚)を購入すれば、年間の電気消費量を相殺できる。このような、購入者に優しい料金システムがあるからこそ、消費者の“自産自消”する意識が高まり、ソーラーガーデンの人気が続くだろう。
太陽光発電システムの「バーチャルオーナー」になる。
ちなみに購入者は、システムの一部の「所有者」になることで、アメリカ連邦政府の「ITC」と呼ばれる投資税控除制度の活用も可能になる。この制度は、購入価格の30%を税額控除できるもので、例えばソブリン・ソーラー社のソーラーガーデンの場合、本来であればプログラム参加者が支払わなければならないシステム購入単価4ドル/Wが、投資税控除後は2・8ドル/Wになる。現在、ソーラーガーデンはバーモント州を始め、マサチューセッツ州、コロラド州などで普及しているが、最近、太陽光発電市場で最大のカリフォルニア州でも、法律でソーラーガーデンの導入が可決された。
同州の3大電力会社では、2015年度までに、総600 MW分のソーラーガーデンシステムを導入する予定になっている。
日本では固定買取制度を利用した土地付き分譲ソーラーなどで、自宅以外の場所で太陽光発電システムを所有できる手段がある。しかし、投資目的のこのモデルは、だれでも参加できるわけではない。さらにオーナーの自宅の電力消費量・電気料金削減の動機にもつながらない。ソーラーガーデンは「すべて」の電力消費者が太陽光発電システムのオーナーになれるだけでなく、発電量で自家消費量を「バーチャル」賄え、オーナーの電気料金削減に大きく貢献できる。アメリカではこの自産自消型ソーラーガーデンは、これからも大きく普及していくだろう。