日独トップが語る 日本のO&Mの必要性や問題点は
2014/10/10
世界のO&Mをリードする独・グリーンテック社のトップ、インゴ・レーマン氏をキャッチすることに成功。実は以前から親交があるというヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥氏との対談が実現した。
ソーラー発電プラント
成功の鍵は「O&M」にある
土肥 まず、O&M(オペレーション&メンテナンス)については、日本でまだまだ馴染みが薄いと言えるんだけれども、なぜ必要なのか、その辺りから聞かせてもらってもいいですか?
レーマン ヨーロッパでもドイツでも、実はソーラー発電ビジネスがスタートした時はO&Mの必要性は認識されていなかった。つまり、わからないままスタートしてしまったんです。しかし、徐々にソーラー発電プラントのメンテナンスが、実はフリーじゃないことがわかってきたり、プラント自体の技術レベルが上がってきたりして、同時にお客様の質や知識も上がってきたことで、O&Mの重要性が認識されるようになったんですね。「そもそも太陽光プラントとは何か」ということが、後からわかってきたという……。
土肥 ヨーロッパでは、EPCがビジネスパッケージの中に、オプションでO&Mを入れていたりするんですよね?
レーマン ええ。でもそこには、2つの問題点があります。一つは、EPCにとってO&Mはサイドビジネスになってしまって、会社としてマネジメントのリソースがないし、注力もできないということ。もう一つは、EPCにとって、最初の年は保証期間でもあるから、自分たちで作ったプラントを自分たちでチェックすることになる……つまりお客様に対して責任問題に矛盾が生じますよね。
土肥 グリーンテックがユニークなのは、O&Mのスペシャリストとして、中立的な立場、モジュールやEPCから距離を取ったインディペンデントな会社だというところですね。ちなみに、日本でO&Mというと、モニタリングに特化してしまっている傾向がある。スペシャリストとしては、もっと提供できるサービスがあるはずですよね?
レーマン モニタリングはO&Mの構成要素の一つでしかない。技術面の話では、モニタリングのほかにも、緊急時だけでなく恒常的なメンテナンス、プラントの保全・トラブルの予防もあるし、あとパフォーマンスの最大化などのコンサルティング……実に多様な側面があります。お客様は発電所の運営やトラブルシューティングなど、書類の提出や管理も必要ですよね? それらの代行や、役所への届出や報告なども包括的にやっています。
土肥 プロがチェックすることで、費用対効果=リターンを最大化するという側面もありますよね。
レーマン その通りです。同様にリスクを最小化するというミッションもありますね。推定できるトラブル時のさまざまなリスクを下げる、不確定要素を排除することによって「安定」を得ることができるんです。リスクについて具体的に言うと、例えば国ごとに違うとはいえ、電力とか発電所の運営には、必ず法規制が関わってくる。
それを守る義務も生じるはずですね。私たちは、法制度の面も含めて、太陽光のプロとして必要な関事項を、知識のないオーナー様でも安心して太陽光プラントを運営できる環境をお届けするわけです。
土肥 まさにソーラー発電プラントを成功させるために、今後日本でも、御社が展開しているO&Mは必須になってきそうですね。
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
☎045-228-9065
www.e-solar.co.jp
※SOLAR JOURNAL vol.10より転載