ZEHは住宅用太陽光の「追い風」になるか!?
2017/01/10
昨年10月11日、2016年度の第二次補正予算が成立し、「ZEH普及加速事業」に、新たに100億円の予算がつけられた。ZEHの普及を加速化することは、住宅の「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」投資を喚起することに直結する。ZEHは住宅用太陽光にとっても追い風となるか。
使うより創る電気が多い家 ZEHが呼び込む関連投資
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとは、家で「消費するエネルギー」と、家で「創るエネルギー」が同等になる住宅。年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支が、プラスマイナス「ゼロ」になる住宅を指す。Net Zero Energy Houseの頭文字をとってZEH(ゼッチ)だ。
その実現のためには、住宅の断熱性能を上げて「エネルギーロスの少ない家を建てる」とともに、太陽光発電で「できるだけ多くの電気を創り」、省エネ性能に優れた家電に切り替えて「使う電気を減らしていく」ことが求められる。蓄電池に「創った電気を貯めておく」ことや、HEMSにより「電気の使い方をコントロールする」ことも必要となる。ZEHには、幅広い投資を呼び込む大きなポテンシャルが秘められているというわけだ。
売電から自家消費へ FITの先を指し示す
国は「エネルギー基本計画」においてZEHの実現を掲げており、2015年12月に「ZEHロードマップ」を作成した。今回補正予算に盛り込まれた「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)普及加速事使うより創る電気が多い家ZEHが呼び込む関連投資業」も、これに基づくもの。「2020年までに新築戸建住宅の過半数をZEHにする」という方針のもと、「ZEHの価格低減およびZEHの普及加速化、これによる住宅への省エネルギー投資拡大のため、高性能建材や高性能設備機器、蓄電池等の組合せによるZEHの導入を支援する」ことを目指す。
2016年度は、当初予算において110億円のZEH関連予算があったが、ここにはZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の支援も含まれていた。今回、ZEH単独で100億円という大型補正がついた意味は大きい。補正予算額の多くは補助金として使われるが、そのなかには家庭向けの蓄電池なども含まれるものと思われ、住宅用太陽光市場全体に与える影響は計り知れない。
ZEHにおいては、太陽光で創った電気は「売電」ではなく「自家消費」が基本となる。そこには、これまでとは違う新しいビジネスチャンスが拡がっている。ZEHには、FITの先にあるPV市場の、新たな可能性が示されているといえるだろう。
取材・文/廣町公則
※『SOLAR JOURNAL』 VOL.19 より転載