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“脱”化石燃料! 発電は再エネ熱利用が主流に?

エネルギーの分散化が進んでいる。変化が目まぐるしいエネルギー分野の中でも、注目されているのは熱利用である。熱利用に関して先進をいくデンマーク、そしてユニークな取り組みを進めるドイツの例をたよりに、エネルギー分散型社会を紐解く。

決定したエネルギーの分散化への道

日本政府を慌てさせたパリ協定の異例の早期発効は、脱化石燃料のための再エネ拡大とエネルギー効率化が必須の流れであることの象徴であった。エネルギーが薄く広く存在する再エネの普及と、地域での取り組みこそが効果を上げるエネルギーの効率化が進むことは、必然的な結果としてエネルギー分散化を招く。また、再エネ電力の増加の速度を見誤ったIEA(世界エネルギー機関)は、こちらも慌てて予測の前倒しを行った。エネルギー分野の変化のスピードは、我々の想像を超えるものがある。

一方、EVの普及が急伸している。VW社のディーゼル車のデータ偽装をきっかけに世界のEVの販売ペースが上がり、2040年には新車の3台に1台がEVになると予想されている。欧州ではEVの電気はCO2フリーであることが強く求められる。ガソリンから再生エネ電力への移行は、ついに交通燃料までが分散化することを意味する。

元より分散型の熱利用

分散型エネルギーとして忘れてはならないのが、熱である。本来、熱は運搬する時のロスが大きいため、遠くへ運びにくいエネルギーである。発生する熱を近隣で使うのは理屈にかなっているが、それだけに、発生する熱をうまく需要のある場所へと結びつけるのは簡単ではない。

再エネ先進国と言われるドイツでさえ、効率的な再エネ熱利用への挑戦はまだ始まったばかりである。

地中に造られた季節蓄熱設備(62,000㎥、水による熱貯蔵) 出典:Arcon-Sunmark

ドイツの研究機関の多様な取り組み

そんな中、私が昨年2度も訪れることになったミュンヘンの研究機関ZAEバイエルンは、熱に関するユニークな取り組みを行っている。

例えば、ゼオライトという鉱物を入れたタンクにゴミ発電の排熱を貯めて運ぶ熱運搬システムや、鉄道の線路の切り替え部分の融雪に地中熱を使うなど、再エネの熱利用が実際に行われている。

ZAEが今取り組んでいる重要なテーマは、熱の貯蔵である。ZAEのあるミュンヘンのシュタットヴェルケと組んで、マンションの屋根を使った太陽熱設備の熱を蓄熱タンクに貯め、季節を超えて利用している。このプロジェクトは、マンション群13棟の屋上に2,900㎡の太陽熱利用設備が載せられ、発生した熱を6,000㎥の蓄熱タンクで貯蔵するという大規模なものである。

最新のデンマークの熱供給システム

デンマークは、世界で最も熱供給システムが進んでいる国とされている。地域熱供給には100年以上の歴史があり、首都・コペンハーゲンの98%に地域熱供給が普及している。また、ドロニングルンという場所では、先に上げたミュンヘンを大きく上回る地域熱供給が1,350世帯に対して行われている。38,000㎡近い太陽熱施設が設置され、年間18,000MWhの熱を生産している。夏には需要の10倍の熱が生まれるが、余剰を地中に埋めた62,000㎥の蓄熱タンクに貯蔵し、季節を越えて冬に利用している。5月から10月までは太陽熱だけを使い、冬でも需要の半分程度までカバーできるという。

デンマーク、ドロニングルンの大規模太陽熱収集プラント(表面積37,537㎡)出典:Arcon-Sunmark

さらに、風力発電による供給が全電力需要の50%に迫る中で、余剰電力を熱に変えて貯蔵するという、供給の変動に対してエネルギーの柔軟性を確保するための取り組みも進んでいる。

海外でもこれからという熱への取り組みだからこそ、日本にも先んじるチャンスがあると言える。


北村和也
エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
◎日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

 

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