政策・制度

充電インフラの設置目標を倍増 経産省が新たな指針を策定

経済産業省は10月23日、充電インフラ整備促進に向けた指針を公表した。2030年までに充電器の設置目標を倍増させるとともに、充電池全体の総出力を10倍に相当する約400万kWを確保することを目指す方針だ。

世界に比肩する
充電インフラの設置目標

経産省が「充電インフラ整備促進に向けた指針」を策定

経産省が「充電インフラ整備促進に向けた指針」を策定

経産省は今年6月、「充電インフラ整備促進に関する検討会」を設置し、中長期的に持続可能で利便性の高い充電インフラの整備に向けての課題や数値目標をとりとめた。検討会でのヒアリング結果を踏まえてとりまとめた「充電インフラ整備促進に向けた指針案」について、今年8月30日から9月28日までパブリックコメントを実施したうえで、「充電インフラ整備促進に向けた指針」を策定した。

この指針の基本的な考えは、「ユーザーの利便性向上」「充電事業の自立化・高度化」「社会全体の負担の軽減」の3原則を総合的に勘案し、世界に比肩する利便性が高く持続可能な充電インフラ社会の構築を目指すこととしている。

主なポイントは、1.世界に比肩する目標の設定:充電器設置目標を倍増する、2.高出力化:高速道路では90kW以上で150kWも設置し、高速道路以外でも50kW以上を目安とする、3.効率的な充電器の設置:費用対効果の高い案件を優先する、4.規制・制度等における対応:従量制課金を2025年度からサービス実現を目指すなど、ユーザー・事業者双方にとってより持続的な料金制度を実現するとしている。

充電器の総出力目標を
10倍の約400万kWに

このうち世界に比肩する目標の設定としては、EV充電器の設置目標を2030年までに15万口から30万口に倍増し、電動化社会構築に向け充電インフラ整備を加速する。高出力化としては、急速充電の平均出力を現在の約40kWから80kWまで倍増させることなどを通じ、充電器全体の総出力を現在の約39万kWから10倍に相当する約400万kWを確保することを目指す。
効率的な充電器の設置としては、限られた政府の予算を活用して、効果的に民間投資を促すため、必要な補助制度での工夫を講じ、効率的に充電器の整備を進めていく。そのためには、補助対象の範囲や優先度を考慮し、設置費用や申請額を低減させる仕組みを検討する。その際、執行手続きの簡素化・効率化にも留意するとしている。

規制・制度などにおける対応としては、10kWを超える普通充電器の出力について、充電器メーカー、充電インフラ事業者、団体を通じてニーズの把握を行う。ニーズの顕在化に合わせ、JARI認証や各法令、その他民間規程等について、関係団体を含め対応の方向性を検討する。JARI認証は、普通充電器の安全・安心を担保することを目的に、一般財団法人日本自動車研究所(JARI)が2012年度から実施している第三者認証制度。

政府は、「2035年までに、乗用車新車販売で電動車(EV、FCV、PHEV、HEV)100%」という目標を掲げている。世界に比肩する利便性が高く持続可能な充電インフラ社会を構築し、クリーンエネルギー自動車の普及と、インフラとしての充電器などの設置を、車の両輪として進めていくとしている。

DATA

経済産業省 充電インフラ整備促進に向けた指針を策定


取材・文/高橋健一

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