政策・制度

ペロブスカイト太陽電池で日本の「復権」を目指す。官民協議会の1回目を開催!

太陽電池産業における日本の復権の切り札と目されているペロブスカイト太陽電池。その振興を念頭に置き、経済産業省は「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」を発足させ、5月9日に第1回を開催した。

官民一体の体制を構築し
世界をリードする存在へ

2024年5月29日に第1回「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」が開催された。協議会発足の背景には、ペロブスカイト太陽電池の開発に対する危機感がある。ペロブスカイト太陽電池は日本発の技術でありながら、海外でも研究開発や生産工場の建設などが急速に進められ、今後、厳しい競争が予想されている。そのため経済産業省は、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出に官民関係者が総力を挙げて取り組むことが必要であるとしている。

また協議会で配布された経済産業省の資料には以下のような自戒も記されている。「我が国は、『サンシャイン計画』などを皮切りに産官学連携で研究開発を進め、2000 年代前半には、(太陽電池の)導入量世界1位、世界シェアは 50%超に達し、世界をリードする存在となった。しかしながら、原材料のシリコンの安定調達や海外での急激な需要増加に対応した生産体制構築等で遅れを取り、現在主流となるガラス基板のシリコン太陽電池で国際的な競争力を失った。この間、政府も、開発支援を継続的に行い世界最高の変換効率達成などの成果を上げた一方で、世界と競争するための産業競争力強化に向けた国内生産体制構築への支援において海外に遅れをとった面があることも事実である」。

出典 資源エネルギー庁

こうした状況下、日本政府が掲げる2050 年カーボンニュートラル実現のためには、太陽電池のさらなる活用が欠かせない。しかし近年は、環境や景観に与える太陽電池の負の影響がたびたび問題となり、大型太陽光発電所を設置できる広い土地の減少など、太陽電池のさらなる導入を阻みそうな課題も散見している。

そうした課題をクリアしてくれそうなのがペロブスカイト太陽電池。軽量・柔軟という特徴を有しているため、低耐荷重性の屋根や壁面など、設置困難と見られてきた場所にも設置できる。将来的には、既存のシリコン太陽電池等と組み合わせることで単位面積当たりの発電効率向上の実現も期待される。

ペロブスカイト太陽電池には、乗り越えるべき課題もあるが、太陽電池産業における日本の失地回復に向けて大きな期待を背負う。その開発・普及を後押しするのが「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」である。今後も動向を注視すべきだろう。

DATA

第1回 次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会


取材・文/四谷陽晴

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