再エネ出力制御率、2035年には北海道で37%に拡大、優先給電ルールの見直しで大幅減の見通し
2026.09.04
経済産業省は8月6日の有識者会議で、再エネ出力制御の長期見通しを示した。2035年度は最も高い北海道エリアで出力抑制率が37%に拡大すると試算。一方、優先給電ルールの見直しでFIP電源の出力制御率が大幅に減少すると試算している。
今年5月の出力制御
日本全国で12憶kWhに

全国の出力制御量(出典 経済産業省)
経済産業省は8月6日、総合資源エネルギー調査会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 次世代電力系統ワーキンググループで、再エネ出力制御の長期見通しを示した。それによると、再エネの導入が着実に拡大する一方、再エネ電源の出力制御エリアが今年3月に全国に拡大、複数エリアでの同時出力制御の増加による域外送電量の減少や電力需要減少を要因として、足元の出力制御量が増加した。
例年3~5月は太陽光発電の出力が拡大する一方、電力需要は最小期となるため、出力制御が大きくなるが、特に2026年度春には九州エリアで揚水発電所の補修停止の増加があったほか、域外送電量が減少、さらに好天による太陽光発電量増加などの要因により例年より制御量が増加した。これにより今年5月の全国における再エネ出力制御量は、初めて12憶kWhという規模に達した。
今年3月には東京電力エリアで初めての出力抑制が実施された。柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が、出力抑制の要因のひとつとなっているのは間違いない。年度別でみても、日本全国では2025年度に過去最大の出力制御量となったが、2026年度は4~6月期だけで前年度の規模を超えている。

太陽光発電出力と出力制御に係る分析(出典 経済産業省)
一方、特に出力制御量が多い九州電力エリアと東北電力エリアについて、日射量と太陽光発電の出力の相関を見ると、当然ながら強い相関を見せている。ただ、出力制御量との相関では、「日射量がほぼ同量の月で比較してもばらつきがあり、出力制御が日射量だけでなく、連系線の利用率や他設備の稼働状況などの複合的な要因によって決定されている」と経産省では分析している。
これに対して委員からは「九州エリアと東北エリアで出力制御メカニズムが異なるのではないか」との疑問が示された。経産省は、要因別の定量的な分析は省内でもできていないとしたうえで、「エリアによって出力制御のメカニズムを理解し、どのような系統整備が必要かを考えていく必要がある」と回答した。
2035年の出力制御率
各エリアで拡大の見通し

2035年度の出力制御見通し(出典 経済産業省)
長期の出力制御率見通しは、2035年に北海道エリアで37%という試算となった。次いで中国エリアで23%、九州エリアで21%、北陸エリアで20%と続く。昨年度の試算では北海道で30%、九州で20%、中国と東北で16%、北陸10%となっており、出力制御率の見通しが増加していることがわかる。
また、①各エリアで最低需要の10%分を蓄電池が需要創出したと仮定した場合の需要対策効果、②既設火力などの発電設備の最低出力が火力で30%、バイオマスで50%と仮定した場合の供給対策効果、③マスタープランで増強の必要性が高いとされた地域間連系線が増強されたと仮定した場合の系統対策効果、それぞれについて出力制御率を試算し、各対策効果で出力制御が抑制されると試算した。これらの全ての対策が効果を発揮すると、北海道では出力制御率が17%まで抑制されることになると試算している。
ただ、委員からは連携線の増強効果で東北や九州の出力制御率に変化がない点が指摘され、「連携線増強で出力制御が低減されるという認識だったので、整合性を確認してほしい」と迫られる場面もあった。
優先給電ルールの見直しで
制御率が大幅減の見通し

優先給電ルール見直し後の算定結果(出典 経済産業省)
また優先給電ルールの見直しで、2026年度からまずFIT電源、次にFIP電源という順で出力制御することになるが、これによる出力制御率の変化を試算した。その結果、FIP電源については出力制御率が大幅に減少する見通しとなっている。これについても委員から「蓄電池併設による効果ではないか」と疑問が出された。これに対して経産省は「手元に資料がなくわからない」と話した。
再エネの出力制御は、導入量の拡大に伴って、特に電力需要最小期には大きくなることは理解できる。ただ、再エネ導入量はすでに最小需要量を上回る設備容量に達しており、最小期には再エネ100%の時間帯があってもおかしくない。また出力制御の詳細分析に加え、今後の対策効果を詳細に検討し、出力制御に関する知見をより一層高め、制御量を最小限にとどめていく努力が求められる。
DETA
総合資源エネルギー調査会 次世代電力系統ワーキンググループ
第12回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 再生可能エネルギー主力電源化小委員会/電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会
取材・文/宗 敦司
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