世界最大の中国「再エネ導入五か年計画」とその実現性|北村和也さんの再エネの達人

2030年に向けての中国の再エネ拡大五か年計画が7月に発表された。3,500GWの再エネ発電施設の達成という、とてつもないもので、まさに世界一のプランである。その実現性と見えてきた課題などをまとめる。

アイキャッチ画像:© MDV Edwards/Shutterstock.com

 

2030年に再エネ3,500GW、
うち太陽光+風力発電で2,800GW

 
国家発展改革委員会(NDRC)などがまとめた計画は、「再生可能エネルギー発展第十五次五カ年規画」という命名で、2026年から2030年の5年間での再エネ拡大の道筋を示している。2030年の具体的な目標は、再エネ全体で3,500GW、うち2,800GWを太陽光と風力発電で賄うとする。

 


中国の再エネ設備容量の推移(2015-2025)と2030年目標 出典:Carbon Brief

 
上のグラフで見て取れるように、中国の再エネ容量はこの3年で倍増しているが、それをさらに1,000GW超を積み増す壮大なものである。風力と太陽光発電の設備容量を全体の50%以上とし、年間発電量で30%以上となる4兆kWh以上を目指している。これがどんな数字かというと、日本の再エネ設備容量の2025年の追加分は、太陽光と風力を併せても6GWを超える程度でしかない。一方、中国では2025年に、太陽光で300GW 以上、風力で100GWを大きく超えていて、人口比を加味しても差は圧倒的となっている。

 

課題は、太陽光発電の“停滞”
と出力制御か

 
このところの中国の再エネ拡大の勢いからすれば、目標達成は簡単に映る。しかし、ここに来ていくつかの課題が見えてきた。まず、太陽光発電導入の“異変”である。このところ順調な伸びを示してきたが、2026年の上半期の導入量が72GWと前年同期比で66%も落ち込んだ。これは中国のFIT制度の廃止(2025年6月)の駆け込み反動と市場改革によるものとされている。この結果、以下のグラフでも2026年の中国の導入量(赤)は2025年から大きなマイナスとなると予測されている。

 


世界の太陽光発電設備の国別追加容量と予測 出典:Intertek CEA

 
もう一つが、国内で急増する出力制御である。こちらも2026年上半期の出力制御が、前年同期比で49%、ほぼ5割増になったとされる。グローバル・エネルギー・モニター(GEM)とエネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)が発表した報告書によるもので、風力と太陽光発電の総発電量のうち26.1%が出力制御‌の対象になったと推計、メキシコの国内電力需要全体に匹敵するとされる。ただし、中国当局は、出力制御は10%に達していないと報道を否定している。いずれにせよ、導入全体の減少と併せて課題は表出していて、せっかく50%を切った石炭火力発電が今年は増加する可能性もささやかれている。

 

ポテンシャルの高い、再生熱など
非電力部門での利用

 
中国の再エネ発電は、一時的な停滞はあるにせよ大きな流れは変わらず、目標達成に向けて継続して拡大することは確実であろう。特に出力制御は厄介であるが、こちらも急速に増えている蓄電池がいずれソリューションとなる。再エネはすでに中国の電力需要をカバーする大きな柱になっているのは事実で、遠くない将来に、石炭火力発電との主役交代が見込まれている。また、日本の一部で“急増”が語られる中国の原子力発電の役割も正直言って過大評価である。

 


中国の2025年の電源別発電量の増減(対前年比) Emberのデータを元に筆者が生成AIで作成

 
例えば、昨年の中国の発電量ベースで見た電源の増減(2024年比)を上に示したが、500TWhもの莫大な電力需要増に加え70TWhの石炭火力発電の減少を、9割以上カバーしたのは太陽光、風力、水力発電の再エネ御三家である。具体的には、太陽光が+336TWh、風力が+138TWh、水力が+45TWhで合計517TWhの増加となっている。一方、原子力は確かに増えてはいるが、その10分の1にも満たない37TWh増で、全体の発電量割合でも5%以下ととても主要な電源とは言えない。

ところで、5年計画に戻ると、2030年に向けて電気以外で重要な目標が示されていることに気づく。それは、太陽光と風力発電を利用した熱供給など非電力部門での再エネ利用を掲げているところにある。この5年間で利用規模を2.5倍にする計画である。注目されるのは、「グリーン水素・グリーンアンモニア・グリーンメタノールの生産拠点整備」の推進である。グリーン水素は、生産規模を200万トンとされた。

ポイントは、これらのグリーン素材は非電力部門の利用で、原材料などを想定していると見られる。日本の、アンモニア混焼など間違った発電利用とは一線が画されているようだ。再エネ導入で圧倒的なボリュームをたたきつけられるだけでなく、利用内容でも差があるのが現状だ。

プロフィール

エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。


中国の再エネ設備容量の推移(2015-2025)と2030年目標 出典:Carbon Brief
世界の太陽光発電設備の国別追加容量と予測 出典:Intertek CEA

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