政策・マーケット

ポストFITを支えるサングロウの「中規模自家消費向け一体型システム」とは?

1997年に中国で創業したサングロウは、パワーコンディショナ分野で世界シェアのおよそ15%を占める。同社は今後、日本市場でどのような展開を考えているのか。日本法人の新社長に就任した孫瀟氏に話を聞いた。

国内市場が縮小する中で
高まる海外進出のニーズ

サングロウの日本法人であるサングロウジャパンは、2015年設立で、私は2019年8月に新しく社長に就任しました。日本市場は安定していますが、これからFIT価格が下がり、当社の主な販売先だった特別高圧など大型案件は減っていくという将来像が見えています。
 
一方で、日本企業の間では、東南アジア(ベトナム)や中東(サウジアラビア)など太陽光がまだ普及していない国に投資したいという海外進出のニーズが高まっています。当社のオフィスは全世界にあるため、そのサポートをしていきたいと考えています。
 
日本市場では今後、本格的な自家消費時代が訪れると思います。そこに向けて、私は蓄電池、パワコン、変圧器などをワンセットにした一体型の蓄電システムを広める役割を果たしていきたいと考えています。日本市場は大きく分けるとFIT向けと自家消費向けの製品展開があり、その中で産業用と家庭用に分かれています。現在、我々がメインとしているのは、自家消費向けの中で中小規模の産業用です。
 
FIT案件にも、引き続き採用いただきたいと考えていますが、既存の案件は減少してゆくため、ビジネス拡大の余地が限られています。すでに特高案件は事業計画が出されており、パネルやパワコンのメーカーが決まっているケースが多く、そのため、将来を見据えて自家消費モデルへと集中していく戦略なのです。
 
“FIT後”の太陽光マーケットがどうなるかは、国の政策が大きく関わってきます。ただ、FITが終了した場合の市場環境について、政府はまだ検討を進めている段階です。ただ、いずれにせよ自家消費が事業者のニーズの柱となるのは間違いありません。そこに向けて自家消費向けの製品を開発していきます。
 

サングロウジャパン社長に就任した孫瀟氏。

 

蓄電システムが普及しないのは
コスト高と一体型ができないから

当社がいうところの中小規模の産業用とは、50kW以上500kW未満の出力のパワコンを使った一体型蓄電システムのことです。
日本の売電価格は電気料金より安くなっていますので、スーパー、工場、学校などにこれから自家消費システムの導入が進んでいくでしょう。しかし実は、こうした場所はそれほど電気を消費しません。ですから、500kW以上の大型システムを導入しても、将来的に大きな負担になってしまう可能性があります。
 
そこで、当社は産業用の自家消費としてはコンパクトなシステムを開発しました。単体のパワコン出力は50kWで、それを並列する形で対応します。
 
日本市場は500kW未満サイズのニーズが多いにも関わらず、導入量が低い理由は、蓄電システムがまだ高いからだと思います。コスト面だけ見たときに導入メリットが十分ではありませんし、いつ台風や地震が来て停電するのか予測するのは難しいですから、非常用電源だけでは使いにくい。多大なコストをかけてもいつ回収できるか分からないのです。
 
当社の製品は簡単に導入できるシステムにしており、仮に太陽光発電設備がなくても蓄電池のみで使えます。ですから停電時の非常用電源としてもコスト的に見合うでしょう。そうなれば、コンビニエンスストアのような小規模店舗でも導入しやすくなります。停電の時でも営業できるようになりますし、充電もできますから、場合によっては避難場所にもなりうるのです。
 
太陽光発電システムに追加したい場合は、基本的にどのメーカーのパネルでも対応できます。例えば50kWだけ試して効果を見てもらい、もし良ければどんどん容量は追加できます。誰しも初めから費用対効果のほどは分かりませんから、まずは小さいところから始めましょうという提案を考えています。中小規模の産業用は東京で開かれるスマートエネルギーWeekにも出品し、来年3月頃に正式リリースする予定です。
 
日本でまだ自家消費用が普及していない理由は、コスト面もそうですが、そもそも一体型システムとして出せるメーカーがないという現状にもあります。蓄電池メーカー、パワコンメーカーはそれぞれたくさんありますが、それをまとめた製品にしたところはありません。それを当社は自社製品として実現したので、コストも抑えられたのです。
 

太陽光発電を普及させるには
建設コストの見直しが重要

当社は産業用蓄電システムでこれまで約800ヶ所のプロジェクトを成功させてきました。日本においても導入実績があります。グローバル市場ではパワコンがメインなのですが、実は日本市場では一体型蓄電システムの問い合わせがパワコンよりも増えています。パワコンだけ、蓄電池だけではなく、「一体型のシステムが欲しい」というニーズが高まっているのがポイントです。
 
こうした中、当社は単なるメーカーから昇華し、ソリューションプロバイダーになっています。ただ製品を売るというよりも、むしろシステムの価値を売るという方針です。日本は海外と比べて山谷が多くて国土が狭い。ですから野立ての発電所はこれ以上増えないでしょう。そのため、太陽光発電の導入も鈍っています。今後は屋根置き、農地活用のソーラーシェアリングなど、いろいろな形で普及させていかなければいけません。
 
日本は海外に比べれば、まだ発電コストが高い。その理由は建設コストの高さにあります。日本独自の品質水準、技術水準などがあるのは重々承知していますが、海外と比べて導入コストが高ければ、みんな海外に出ていってしまい、日本での普及が止まってしまう恐れがあります。
 
建設コストの大半はEPCの仕事にありますが、実は現場での施工以外にも技術資料の作成といった様々な作業があります。そこは、設備メーカー側に知識があれば、もっとサポートできて作業量を軽減できるはずです。メーカーは製品を作るだけ、あとはEPCにお任せといった形で仕事を分断するのではなく、メーカーにもEPCの現場作業以外に参入してもらい、施工コストを下げるといった工夫の余地は十分あります。
 
当社も日本で蓄電システムを導入するに当たって、EPCには接続方法などを、電力会社には安全性などを説明したり、経済産業省にもシステム内容を説明したりするなど、事業者をサポートしてきました。そこまでできる設備メーカーは、当社の他にはないと自負しております。
 


文/大根田康介

Sponsored by サングロウ

 

関連記事

アクセスランキング

  1. 速報! 2020年度FIT買取価格・賦課金が決定! 低圧は認定要件も変更
  2. 太陽光の主力電源化に向けた“O&Mのあるべき姿”とは?
  3. なぜ、いま雑草対策なのか? 軽視できない太陽光発電所の“雑草問題”①...
  4. J-クレジット「再エネ発電」への人気上々。 卒FITも特例で認証へ
  5. 今さら聞けない! 仮想発電所(VPP)とは?
  6. なぜ日本で洋上風力が広まらないのか? 参入における2つの障壁とは
  7. 「PV自家消費モデル」で伊藤忠が社内外の体制強化
  8. JPEA、破損した太陽光パネルを適正処分できる企業一覧を公表
  9. 既存のクルマを電気自動車に!? 改造EVが町にあふれる日(前編)
  10. 地域を潤す再エネ事業「シュタットベルケ」の神髄がここに!

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.32 / ¥0
2020年1月31日発行

お詫びと訂正

  ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ 太陽光業界最新ニュース