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送配電事業の新規参入が免許制に!?「持続可能な電力システム小委員会」

資源エネルギー庁は11月8日、一般送配電事業者が行っている送配電事業を免許制とし、他業種からの参入を可能とする制度案を示した。災害に強く、再エネの大量導入にも耐えうる強靭な系統を目指す。近年増え続ける災害の停電リスクは、新規参入によってヘッジできるのか?

自然災害は増加の一途
強靭なネットワーク急務

資源エネルギー庁は11月8日、第1回「持続可能な電力システムに関する小委員会」(以下、本小委員会)を開催した。開催の背景には、昨年夏に発生した北海道胆振東部地震や豪雨災害、今年の台風15号・19号による長期停電被害などの影響があり、本小委員会とは別に「電力レジリエンスワーキンググループ」においても、災害復旧のための議論がなされている。しかし、持続的な安定供給体制を構築するためには、AIやIoTなどの新技術を取り込みながら、具体的な方策の検討が急務であるとして、新たに本小委員会の開催に至った。

本小委員会では、「電力レジリエンスワーキンググループ」において中間整理された論点の中から「①早期復旧のための関係者の連携強化」「②強靭な電力ネットワークの形成」「③電源等の分散化」という3つの分野の制度構築について議論を行うという。

第1回目の会合となった今回では、このうち「②強靭な電力ネットワークの形成」と「③電源等の分散化」について中心的に議論がなされた。


送配電の新規参入検討
スムーズな制度移行なるか

「②強靭な電力ネットワークの形成」に関しては、北海道と本州を結ぶ北本連系線や、関東と中部の間の50/60Hz交換線などの増強促進にかかる費用負担のあり方、国の関与のあり方について議論が進められた。また、系統増強費用の負担案として、一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)で発生した値差収益を、電力広域的運営推進機関(OCCTO)に納め、OCCTOから一般送配電事業者に交付するという案が提出された。

「③電源等の分散化」に関しては、託送料金の制度改革に際し、送配電設備の新設・更新計画の実施状況も料金査定に反映すべきとの意見が挙げられた。また系統の独立化に向け、配電事業への新たな事業者の参入可能性について、次のような案が提出された。

配電事業は、現在一般送配電事業者10社による独占状態だ。しかしコスト効率化やレジリエンス向上の観点から、新規参入を認めるべきとのニーズが高まっている。このため地域を特定した形で、新しく「配電事業者」と位置づけ、既存の送配電ネットワークを譲渡または貸与し運用してはどうかという発案がなされた。この案においては、新規参入者によるAIやIoTを活用した新たな系統運用によるコスト効率化と、災害時などに系統を独立化することによるレジリエンス強化が期待されている。

現在でも、「特定送配電事業者」という制度を利用し、新規参入者が系統運用することは認められている。しかし、送配電ネットワークを自前で手配する必要があり莫大なコストが発生することから、その運用は限定的だ。今回の発案は、送配電ネットワークを譲渡または貸与という形であり、自前で手配する自営線と比較するとコストの低減が予想される。

一方で有識者からは、これまでに同様の実証が行われてきたにも関わらず大きな進展がないことを考慮すべきという意見や、現在の一般送配電事業者からのスムーズな引継ぎ等が不可欠である旨の意見が挙がった。

新規参入の「配電事業者」に対して免許制とするなどの参入方法はこれから議論が進められる予定だ。レジリエンス強化のための新たな局面に際し、これまで独占体制であった一般送配電事業者の柔軟な姿勢が求められる。


DATA

基本政策分科会 持続可能な電力システム構築小委員会


文/山下幸恵

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