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「発電側基本料金」、FIT買取中でも価格上乗せ 小売との相対で調整

12月27日、経済産業省は調達価格等算定委員会において「発電側基本料金」の調整措置について議論した。この中で、FIT買取期間中の再エネ電源についても、買取価格に「発電側基本料金」を上乗せすることで、他電源と同様に課すこととなった。これまでの調整措置という議論から一変した、その背景とは?

一律の「発電側基本料金」
150円/kWを2023年度導入

「発電側基本料金」とは、送配電設備の費用負担を発電事業者にも求める制度で、2023年度の導入に向け、詳細設計が進められている。送配電設備の費用は、これまで電気を使用する需要家側が託送料金として負担していた。しかし、将来の省エネ等による需要の減少などにより、需要家側に負担が集中することから、これを案分するという考え方に基づき、導入が検討されている。需要家側と発電者側の負担する割合は、9:1だ。

「発電側基本料金」の水準は、発電容量に応じ、全国平均150円/kWとされている。これは電源種別に関わらず一律であるため、太陽光や風力のように設備利用率の低い電源においては、発電量1kWhあたりの課金が比較的大きくなる傾向にあり、経済団体などから制度見直しの意見が出ている。

FIT価格にコスト追加
発電と小売の相対契約に反映

これまで、固定価格買取(FIT)制度期間中の発電設備については、「発電側基本料金による追加コストを転嫁することが制度上困難である」として、調整措置が検討されてきた。

しかし、今回の委員会においては、FIT買取価格に発電側基本料金を上乗せすることで、「他の電源と同様に、FIT電源についても転嫁を通じた調整が行える」とされた。2017年のFIT法改正により、FIT電源の買取は現在、送配電事業者が行っている。そのため、発電側基本料金の徴収は、送配電事業者が行うイメージだ。

一方で、発電側基本料金という制度が新たに創設されることにより、需要家側の託送料金は値下げされる。この値下げ幅は、全国平均で0.5円/kWhとされている。

この託送料金の減額分と、発電側基本料金による増額分の調整は、発電者と小売間の相対契約において調整すべきとされ、今後はこの調整措置についての議論が進められる。ただし、設備利用率の低い電源については、前述のとおり、託送料金の減額分を超える費用負担が予想されるため、慎重に検討すべきとされた。

DATA

調達価格等算定委員会



文/山下幸恵(office SOTO)

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