経産省が9社の送配電分離を認可! ついに電力システム改革は最終局面へ
2020/03/30
経済産業省は3月13日、電気事業者9社の送配電部門の法的分離を認可したと発表した。これによって、2020年4月からの体制がいよいよ固まった。電力システム改革の総仕上げのフェーズが始まる。
「親会社方式」が8社
「持株方式」は東京・中部のみ
3月13日に送配電部門の会社分割が認可されたのは、以下の9社。北海道電力、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、そして電源開発だ。
東京電力は2016年4月に分社化が完了しており、沖縄電力は、特例として地域性を考慮し別会社化しないことが2019年6月に認められている。電源開発は、一般送配電事業者に対し託送業務を行う事業者として送配電分離が義務付けられている。
2020年4月1日以降の各社の事業形態は、「持株会社方式」と「発電・小売親会社方式」に二分される。「持株会社方式」は、東京電力、中部電力の2社。それ以外の8社は全て「発電・小売親会社方式」だ。
「持株会社方式」とは、持株会社の下に発電会社、送配電会社、小売会社を設置する方式だ。東京電力は、他の電力会社に先駆けてこの方式を採用し、ホールディングカンパニー制となっている。
一方、「発電・小売親会社方式」は、発電・小売会社の下に送配電会社を設置する。いわば、送配電会社だけを切り離した格好だ。分社化後の会社名などは次のとおり。
出典:経済産業省
求められるのは送配電の公平性
電力システム改革の目的は、安定供給の確保、電気料金の抑制、需要家の選択肢や事業機会の創出とされている。これらの実現に向け、次の3つの段階に沿って改革が進められてきた。その3段階とは、「①広域系統運用の拡大、②小売及び発電の全面自由化、③法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保」だ。
このうち「②小売及び発電の全面自由化」によって、再エネの発電事業者や、新電力などの新規参入が生まれた。こうした新規参入者が事業を行うためには、公平に送配電網を利用できるようにすることが求められる。そのため、送配電部門の中立性を高めるために、「法的分離」を行うことが定められ、その期限が2020年4月1日とされていた。
「法的分離」とは、送配電部門全体を別会社化する方法だ。各事業部門の事業行為、会計、従業員などが明確に区分される。法的分離に先立ち、2003年には、送配電部門の会計だけを他部門から分離する「会計分離」が行われた。法的分離はフランスやドイツの一部で採用されている。
DATA
文/山下幸恵(office SOTO)