CO2排出量が増加? 脱炭素に足踏みするドイツの苦悩 part1

世界の中でも、再エネ先進国とされる「ドイツ」。しかし、そのドイツで今、脱炭素化に逆行する自体が起きている。エネルギージャーナリスト・北村和也氏が、電源構成からドイツに今何が起きているのかについて解説する、連載コラム第33回。

再エネ先進国であり、脱石炭など脱炭素でも先頭グループを走るドイツが苦しんでいる。

昨年2021年の年間の再エネ電力の割合がFIT制度導入後初めて大きく下がり、これまで着実に減っていた石炭火力発電の電力量が大幅に増えた。当然のように二酸化炭素(CO2)排出量も増加して、脱炭素の道程に逆行している。

一方で、メルケル氏の長期政権の後に誕生した新連立政府も厳しい現実に直面している。EUによる脱炭素に向けてのタクソノミー(分類)では、原発をグリーンとする案が決まり、今年末までにすべての原発を停止させるドイツの政策に真正面から対立する。さらにきな臭いウクライナ情勢を背景に、ロシアからの天然ガスパイプラインの停止が現実味を帯びてきた。

今、一体ドイツのエネルギーに何が起きているのか。
まずは、昨年のドイツの電源構成から見ていこう。

再エネ電力の割合が減少

毎年、1月初めに発表されるドイツの主要な研究所の一つフラウンホーファーISE(太陽エネルギーシステム研究所) による「ドイツの発電実績」のデータをピックアップしてみよう。それによると、2021年は再エネ電力の割合が45.7%となり、2020年の50.0%から大きく後退した。ちなみに、この統計は自家消費分を含まないため、他の統計より再エネ電力の割合が高く出る傾向がある。

ドイツの再エネ電力の割合の推移 

(出典:Öffentliche Nettostromerzeugung in Deutschland im Jahr 2021 Fraunhofer ISE)

再生可能エネルギー法(EEG)に基づくFIT制度がドイツで導入された後、ほぼ右肩上がりだった再エネ電源の割合が初めて大きく減ったことになる。

2020年には、新型コロナの影響で電力需要が大幅に減少していたが、2021年は回復基調を見せ始めていた。2019年から2020年にかけておよそ30TWhも減った発電量が昨年は10TWh以上回復したのである。

予想外の風力発電の不振と
石炭火力発電の急増

ところが、昨年は再エネによる発電量が、逆に下がっている。2020年に電力需要全体が大きく減った中でも増加した発電量が、昨年は需要増下で減らしている。それが再エネ電力のシェア低下につながった。特に、風力発電の不振が目立つ。

対2019年比の電源別発電量の増減

(出典:Öffentliche Nettostromerzeugung in Deutschland im Jahr 2021 Fraunhofer ISE)

左から3つ目が風力発電の実績であるが、発電量が大きく減っていることが分かる。太陽光発電などの他の再エネ発電が前年度とほぼ同じであるのに対し、突出している。その代わり、茶色と黒の棒グラフが急激に伸びている。茶色は褐炭、黒は良質な石炭を表していて、この2つで風力発電の減少分と全体の需要の伸びをカバーしている。

風力発電が振るわなかったのは、昨年の欧州の風況が非常に悪かったことが主因である。ドイツは、天然ガスの高騰も起きる中、停電を避けるためにはなりふり構わず石炭発電に頼る道を選ばざるを得なかったのである。

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