大規模な木質バイオマス発電所の新設は難しいのか?
2017/12/09
日本の木質バイオマス発電は、いま、どんな地平に立っているのか?その普及はどこまで進み、未来には、どんな可能性が拡がっているのか?木質バイオマス発電のコンサルタントとして数々の案件を手掛けてきた、森のエネルギー研究所の大場龍夫代表取締役に聞いた。
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認定量は国の想定の2倍
大規模設備の新設は難しい
下の地図を見てほしい。これは、森のエネルギー研究所がまとめている「木質バイオマス発電所一覧地図」。バイオマス発電所が全国に拡がっている状況が一目瞭然だ。上が2017年月末時点のもの、下が2年前の状況。たった2年でも違いは大きい。2012年月のFITスタート以降、バイオマス発電の普及にも火が着いたわけだが、その勢いには凄まじいものがある。
大場氏は、「ここで注目してほしいのは、大規模な発電所が一部の臨海部に集中していること」だという。大規模な発電所は、そのほとんどが燃料となる材を海外からの輸入に頼っている。そのため、大型船を着けやすい場所に大規模バイオマス発電所はつくられてきた。古くからコンビナートのある場所に、いまでは多くの大規模バイオマス発電所が建ち並んでいるという。
しかし、今後は「大規模な木質バイオマス発電所を新たに計画するのは難しい」とのこと。建設できる場所が減ってきていることもあるが、最大の理由は、既にFIT認定を取得している大規模案件が国の想定をはるかに超えているからだ。2017年3月末時点で、バイオマス発電の認定容量は、合計1242万に達しており、これは国の当初計画(エネルギーミックス)の約2倍に相当する。系統接続に関しても、空き容量がゼロとされる地域も出てきており、厳しさは増すばかりだという。