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中国電力ら EVバッテリーをリユースしたVPP実証実験スタート

10月17日、中国電力は、明電舎、マツダと、EV駆動用のバッテリーのリユース技術を活用したバーチャルパワープラント実証実験に共同で取り組む共同研究契約を締結した。3社のタッグで新たなVPPシステムの構築に向け検証をスタートする。

中国電力ら3社のタッグ
VPPシステム構築目指す

中国電力と、明電舎、マツダの3社は、電気自動車(EV)の駆動用バッテリーをリユースした定置型蓄電システムの構築、これを利用したバーチャルパワープラント(VPP)実証実験に共同で取り組む。

この実証実験は、EVの駆動用バッテリーを分散型電源、リソースのひとつとして再利用可能かどうか検証することを目的とし、複数のバッテリーをとりまとめて制御するシステムの構築を目指す。システム内には他のリソースとして太陽光発電や電気温水器なども組み込む予定だ。実証実験では、応答性や蓄電池の劣化特性を検証する。

VPPとは、需要家が保有している太陽光発電設備などの再生可能エネルギーや、蓄電池、EVなどの複数の分散型発電設備をとりまとめ、ひとつの発電所のように制御するものだ。従来の大規模な火力発電所などの集中型発電と異なり、小さな発電所が多く分散する分散型発電では、それぞれが系統につながっているため、それらを統合制御するシステムが新しく求められている。さらに、VPPシステムは、送配電事業者の需給調整など新たなサービスにつながるとも期待されている。



EVバッテリーを再利用し
充放電による再エネ活用検証

実証実験では、中国電力エネルギア総合研究所(広島県東広島市)にEVの駆動用バッテリーをリユースした定置型蓄電システムと明電舎製の電力変換装置を設置する。この新たに設置するシステムと、既存の太陽光発電設備やEV、電気温水器などをサーバーを通じて総合制御する仕組みだ。

電力系統の品質維持や、太陽光発電のピーク出力時に蓄電池を充電し、その他の時間帯に放電するなどの再エネの有効活用なども検証する予定だという。

中国電力は既存ビジネスの革新や、新ビジネスの創造を推進するため、今年4月「エネルギア創造ラボ」を設置し、付加価値の高いサービス提供に向けた取り組みを推進している。

明電舎は重電メーカーとして、蓄電システムの電力変換装置の納入実績が200台以上あり、リチウムイオン蓄電池だけでなくさまざまな電池の種類に対応できるノウハウを持つ。

マツダは、技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言 2030」に基づき、Welll-to-Wheel(油田からタイヤまで)という観点で生産の全工程においてCO2削減に取り組んでいる。

今回の3社の協業により、再エネの最大限活用、需給バランス制御などに大きく貢献する新しいシステム構築が期待できそうだ。



DATA

中国電力株式会社
株式会社明電舎
マツダ株式会社


文/山下幸恵

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