経産省がGX戦略地域18地域を選定、電源確保と費用負担に課題

経済産業省は9月11日、GX戦略地域制度の第1弾として18地域を「GX戦略地域」に選定した。GX戦略地域は通常の工業団地とは異なり、脱炭素電源を活用することを前提としているが、それにはいくつかの課題もありそうだ。

 

3類型18地域を選定
脱炭素活用型は8地域

 



GX戦略地域の4類型(出典 経済産業省)

 

GX戦略地域制度は「GX2040ビジョン」で示され、昨年8月に創設された。脱炭素電源を活用することを前提として、(1)脱炭素電源の確保、(2)系統・蓄電インフラの整備、(3)脱炭素電力を求める企業の誘致、(4)電源投資をさらに呼び込む、という循環をつくり上げることを目的としている。

GX戦略地域は、①コンビナート等再生型、②データセンター集積型、③脱炭素電源活用型の3類型で地域を選定し、支援と規制・制度改革を行う。また、④脱炭素電源地域貢献型の類型(GX地域共創補助金)では、電源立地地域に貢献する事業者の設備投資を支援していく方針だ。


今年4月に有望地域を選定(出典 経済産業省)

今年4月には類型①~③について有望地域38地域を選定している。今回は、そのなかで計画の熟度が十分に高まったと判断した地域を「GX戦略地域(第1弾)」として認定した。④については今後公募を行っていく。

今回選定された18地域は、①コンビナート等再生型が神奈川県川崎市のみ、②データセンター集積型は北海道石狩市・苫小牧市、秋田市、宮城県富谷市、栃木県矢板市、茨城県常総市・つくば市、富山県南砺市、香川県綾川町・坂出市・丸亀市、福岡県北九州市・直方市・鞍手町、鹿児島県薩摩川内市の9地域、③脱炭素電源活用型が青森県六戸町・六ヶ所村、秋田市、福島県浪江町、新潟県聖籠町、新潟県柏崎市、新潟県小千谷市、福井県福井市・小浜市、島根県松江市の8地域である。

 

原子力の活用が4地域
風力や水素などの計画も

 


秋田市はデータセンター集積型と脱炭素電源活用型の2類型で選定(出典 経済産業省)

 


脱炭素電源活用型に選定された青森県六ヶ所村(出典 経済産業省)

 
このうち電源計画まで明確になっているのは8地域程度。青森県六戸町・六ヶ所村と島根県松江市は、県内の大間、東通原子力発電所の電気を中心に、陸上・洋上風力の電気を活用していく。原子力の活用をうたっているのは他に新潟県柏崎市、福井県福井市・小浜市および島根県松江市がある。

一方、秋田市は下新城地区の再エネ工業団地で再エネ100%の電力供給を掲げている。洋上風力を含む県内の再エネ電源を最大限活用するほか、専用電源の確保を進めるため電力供給事業者の公募を開始している。

福島県浪江町では、再エネ電力と福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)からの水素を組み合わせていく。秋田市と福島県浪江町では、電力供給体制を構築してから企業を誘致する計画だ。

新潟県小千谷市は、同市内外の既存水力などの脱炭素電源を活用してデータセンターやGX関連企業を誘致していく。またデータセンターからの排熱を錦鯉養殖や道路融雪などに利用するエネルギー循環モデルを目指すという。新潟県聖籠町は新潟東港のエネルギー拠点を活用し、再エネ・水素・CCSなどを含む脱炭素エネルギー供給拠点を形成する計画だ。

 

新規電源構築にコストなどの課題
再エネ集積地へのDC誘致に疑問

 


コンビナート等再生型に選定された神奈川県川崎市(出典 経済産業省)

 
一方、上記8地域以外では、地域の既存再エネ電力の活用を明記している計画は一部にとどまる。具体的な電源を示さずに、脱炭素電源としか記載していない地域も多い。川崎市では扇島で水素製造計画があり、水素と再エネの組み合わせとなりそうだが、多くの地域では今後の電源確保が大きな課題となりそうだ。

具体的な電源が決まっていない地域では、太陽光や風力などの電源を集めていく想定と考えられる。しかし、データセンター集積型では24時間365日の安定供給が必要となるが、変動の大きい再エネだけではこの需要に対応できない。また十分な量の電源があったとしても、データセンターの電力需要が大きく、系統制約で送電できない場合も考えられる。そのため系統を増強したくても企業誘致に間に合わなくなる可能性も指摘される。

さらに、再エネ電力を確保するための費用負担を誰がするのかという問題もある。GX戦略地域の実現は、新たな脱炭素電力需要の創出を意味するが、それには再エネ電源、蓄電、送配電などの設備投資が必要であり、現状ではコスト高になりやすい。コーポレートPPAを活用してもコスト高となる可能性もあり、事業採算性との兼ね合いが難しくなりそうだ。

またデータセンターはデータ転送速度の確保が最重要であるため、事業者はユーザーと距離を置くことを避ける傾向がみられる。事実、現在もデータセンターは大都市圏周辺に集中している。つまり脱炭素電源の豊富な地域とデータセンター立地地域は必ずしも一致しない。物理的な距離による通信遅延が解消されなければ、地方の脱炭素電源地域にデータセンターを誘導することは、事業者にとって魅力があるとは限らない。

 

DATA

GX戦略地域(第1弾)を認定しました

GX戦略地域制度


取材・文/宗 敦司

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