NEDOが風力発電用データベース構築に着手、風車稼働率を97%以上に
2018/08/29
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、風力発電設備の稼働率向上のためのデータベースシステムの開発をスタート。データベースの活用により、風車稼働率97%以上を目指すという。
日本の風力発電は割高
技術開発でコスト低減を
NEDOは、風力発電用風車の運用データや、故障・事故情報を収集・蓄積するデータベースの構築に着手した。人工知能(AI)と組み合わせて故障を事前に予知したり、過去事例を分析して故障や事故から早期復旧する、といったことが可能になる。これにより、「ダウンタイム」と呼ばれる風車の停止時間や、運転維持コストを低減させて、風車稼働率を97%以上に引き上げることを目指す。
日本の風力発電における資本費や運転維持費といった発電コストは、他の国と比べて高くついているという。日本の気象条件は、台風や落雷などが頻発するため、欧米よりも厳しいことがその一因だ。また、日本国内で稼働中の風力発電用風車は、約7割が海外メーカー製のため、故障した場合には代替部品を取り寄せるなど時間がかかる。そのため、欧米諸国と比べると故障時のダウンタイムも長くなってしまう。
こうした日本の厳しい環境下で、長期間安定して風力発電を行い、導入量を増やすためには、風車本体の信頼性だけでなく、発電効率の向上やメンテナンスの高度化など、技術開発による発電コストの低減が求められる。
そこで今回、NEDOは風力発電設備の稼働率向上のために、データベースシステムの研究開発を行う実施者を採択。風力エネルギー研究所、東京大学、産業技術総合研究所、中部大学が事業の委託予定先として選ばれた。
風車稼働率10ポイント向上
現状87%から97%を目指す
今回の事業では、風車のダウンタイムと運転維持コストを低減し、風車稼働率を現状の87%から97%以上へと10ポイント以上アップさせることを目指して、データベースシステムを構築する。
具体的には、まずCMS(Condition Monitoring Systemの略。風車の状態を監視する各種センサーの計測データを伝達・収集し、故障につながる異常を検知するシステム)による風車の運用データやメンテナンス、故障に関するデータを収集・蓄積するデータベース構築に向けたシステム設計。また、人工知能(AI)を活用した故障予知の情報や、過去事例の故障・事故からの早期復旧に関する情報などを提供するアプリケーションの設計を実施する。
その後、事業性が高いと評価された場合には、データベースシステムの構築、運用を実施し、風力発電の運転維持費の低減を目指すという。