編集部からのお知らせ

丸紅が石炭火力の権益を「2030年までに半減」と公表、その理由は?

今年9月に、石炭火力発電からの撤退を宣言した大手商社・丸紅。2030年までに石炭火力発電所の権益を半減させるというが、その理由は"採算性のなさ"にあるという。再エネを巡る情勢について、エネルギージャーナリスト・北村和也氏が読み解くコラム。

前記事:ソニーのRE100加盟から考える「再エネ調達の重要性と企業存続」

「丸紅ショック」は、
化石燃料への惜別

9月初めに、商社の丸紅が石炭火力発電からの撤退を宣言した。今後、新規開発を行わないだけでなく、持っている石炭火力発電所の権益を2030年までに半減させるという。その分を再エネ分野への人や資金の投入に振り分ける計画である。

世界の金融機関は、石炭関連のプロジェクトや企業への投資や融資を急激に縮小している。おととし末のパリ協定の締結がそれを一気に加速した。石炭火力が温室効果ガスをまき散らす悪として糾弾されるというのが表(おもて)の見え方である。

しかし、実は、石炭プロジェクトは近い将来事業性を失い、そこへの資金融資や投資はリスクが高すぎるという判断が根底にある。つまり、儲からないものには金は出せないという単純な理由である。

石炭火力発電は
「採算性がない」

世界の趨勢に反して、日本では数多くの石炭火力発電の計画が進められている。また、石炭関連事業への融資を行っている世界の金融機関のベストテンに日本の3つのメガバンクすべてが顔を並べている。

しかし、欧米の例を見れば、原料費のかからない太陽光や風力などのいわゆる限界費用ゼロの発電システムが急増する中、CO2というアキレス腱を抱える石炭発電がいずれ対抗すらできなくなるのは自明である。

これまで安い発電とされた根拠の設備利用率の高さを、今後10年、20年にわたって維持できると考えることに無理がある。合理的な理由から石炭火力発電は採算性がないと考えられているのである。

 

プロフィール

エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 積水化学工業がペロブスカイトを量産化! 2030年にはGW級の製造ライン構築を目指す...
  2. 【EMS専門家が監修】系統用蓄電池のビジネスモデル、他社に差をつけるためのEMSの基礎知識...
  3. 【補助金】住宅の省エネ基準適合義務化 国の新たな補助金・支援制度まとめ...
  4. AI・データセンターのRUTILEAが蓄電所に参入。HUAWEIの蓄電システムが選ばれた理由とは?...
  5. 【参加受付中!】2025年6月10日(火)「第34回PVビジネスセミナー」
  6. 【環境省】脱炭素先行地域に7提案を追加選定、全国40道府県88提案に
  7. 【北村さんコラム】花開くか、系統用蓄電池ビジネスの未来
  8. 第7次エネルギー基本計画を閣議決定 太陽光の比率を 23~29%程度に変更...
  9. HUAWEI 新型蓄電システム、3機種を一挙公開 産業用・住宅用ともに「安全性」を徹底追求...
  10. 【FIT/FIP大幅改正①】初期投資支援スキーム、始動! 屋根設置太陽光に追い風!!...
広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.53 | ¥0
2025/4/10発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ