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世界では「買取価格3円」も!? FIT低下で日本はどうなるのか(前編)

発電事業者の視点では、政府の掲げる2030年の目標発電コスト、目標太陽光発電の累計導入量はどちらも全く的外れ。本来なら、さらに高い目標もクリアできるはずだ。環境経営コンサルタントの村沢義久氏による連載コラム第5回(前編)。

>>連載第4回:愛車を電気自動車に!? 改造EVが町にあふれる日

買取価格14円
さあこれから

太陽光発電の2019年度の買取価格が14円/kWhに決定した。初年度(2012年度)の税抜き40円から8年目にして約3分の1まで下がったわけだ。

「ここまで下がると難しい」という声が聞こえてくるが、冗談じゃない。日本の太陽光発電はこれからが本番。国際基準でみるとまだまだ高いこの価格。工夫次第で十分利益を出せる。

初年度の40円から3年目の32円ごろまで、買取価格が高い間は誰でも、特段努力しなくても利益を上げられた。

しかし、4年目に30円を切ってから脱落企業が相次いだ。14円になると、相当の努力と工夫をしないと生き残るのが難しいことは確かだ。難しいが、克服できないことはない。太陽光発電はまだこれから加速できる。



太陽光発電協会(JPEA)でも2030年までの累計導入量100GW以上を目指しているし、筆者は130GW以上いけるとみている。とは言え、筆者自身、新年度の14円案件推進には苦労している。

西日本のある県における50kWの低圧設備なのだが、地元EPCの話を聞いているとかなり難しい状況。シミュレーションをやってみると、70%以上過積載した上で、造成を含む設備費負担を1000万円以下に抑えれば何とかなるようなので、今後は、パネルの調達先を変え、場合によってはEPCも変えるなどにより対応するつもりだ。

的外れな政府の目標

経済産業省・資源エネルギー庁は2018年9月12日に「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第8回)」を開催し、太陽光発電について、これまで掲げてきた中長期のコスト目標の前倒し達成を目指す方針を決定した。

これまでは、事業用(10kW以上)の太陽光発電のコスト目標として、2020年に1kWh当たり14円、2030年に7円を掲げてきた。我々当事者から見ると、全く的外れな目標だ。2019年度には買取価格が14円。これで利益を出せるのだから、現時点で発電コストはすでに10円を切っているのだ。

彼らの計算法では、2030年の目標発電コスト7円/kWhは、買取価格に換算すると8.5円/kWhに相当するらしい。とすれば、控えめに見て、2019年度の14円から毎年2円ずつ下げていっても2022年には達成できるレベルだ。

的外れと言えば、政府の太陽光発電の累計導入目標も話にならないほど低い。政府は2030年に6400万kW(64GW)としているが、2018年末時点で既にそれを上回る量が認定されており、実際の導入量もあと数年以内に70GWを超える見込みなのだから。


2030年までに累計導入量1.3億kW(130GW)


出所:各種データを基に筆者が取りまとめ作成。2018年以降は筆者の構想。

プロフィール

環境経営コンサルタント(合同会社 Xパワー代表)

村沢義久


東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社日本代表、ゴールドマンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月から2016年3月まで立命館大学大学院客員教授。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。Twitterは@murasawa。

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