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卒FITビジネスが熱い! 電力買い取りや蓄電池システムに注目すべき理由は?

「自家消費」というソリューション

卒FIT電力の買取価格(家庭からみれば売電価格)は、前ページでみたとおり7円〜12円/kWh程度で落ち着くことになりそうだ。電力会社から供給される電気の料金は20円〜30円/kWh程度だから、やはり売電するよりも自家消費をした方がお得になる。

しかし、太陽光発電システムだけでは、日中しか自家消費はできない。昼に発電した電気を夜間に使おうと思ったら、蓄電システムが必須だ。



<家庭用蓄電池の市場規模・予測>


国内の家庭用蓄電池市場は、2023年度に約1200億円になる。卒FITを背景に、蓄電システムの需要が高まった結果だ。出典:日本能率協会総合研究所(2019年3月29日発表)

これまでは導入コストが壁になって、あまり普及してこなかったが、卒FITを機に広まっていくことは間違いないだろう。製品価格はだいぶ下がってきているし、導入によって得られる電気代削減効果はかつてなく大きい。

こうした状況にあって、シャープは、太陽光と蓄電池を一体的にコントロールして、家電・住宅設備機器を制御しながら賢く使うトータルエネルギーマネジメントを提唱する。気象警報が発令されると蓄電池を満充電し、電動窓シャッターが自動で閉まるなど、気象情報とも連携する「クラウド蓄電池システム」の販促を強化する。また、他社製の太陽光パネルとも接続可能な「マルチコネクト」をアピールし、シャープ製パネルオーナーだけではない広範な顧客獲得を図っている。


電気自動車(EV)の
存在感が増していく

蓄電システムを担うのは、家庭用蓄電池だけでない。電気自動車(EV)の存在も忘れてはならないだろう。EVに搭載された大容量バッテリーは蓄電池そのものであり、V2H(Vehicle to Home)機器を導入すれば、住宅用としても活用することができる。日産自動車は、卒FITユーザー向けにEV「リーフ」の蓄電池利用を推奨。2018年11月には、V2Hモデルハウス「Nissan Energy Home(ニッサン・エナジー・ホーム)」を公開した。


日産自動車は電気自動車リーフを家庭用蓄電池として活かすことを提案する。同車のバッテリー容量は40~ 62kWhであり、一般的な家庭用蓄電池(4~12kWh程度)を大きく超える。災害時の非常用電源としても心強い。出典:日産自動

 

蓄電池大手のニチコンも、V2Hに意欲的だ。同社では、EVと家庭用蓄電池を組み合わせて使う「トライブリッド蓄電システム」で、ライフスタイルを問わない自家消費を実現する。日中に太陽光発電の電気を蓄電池にためて、夜間に家庭用電力として使用するとともに、蓄電池からEVバッテリーに電気を移せるので、いつでもクルマを走らせることができる。太陽電池・蓄電池・EVバッテリーの3電池を統合制御し、それぞれの充放電動作をDC接続のまま高効率に行える「トライブリッドパワコン」も用意されている。

同社は、蓄電池単体での自家消費ニーズにも、大容量モデルで応えていく。今年発表された新製品は、家庭用蓄電池の常識を超える業界最大級の16.6kWhだ。これだけの容量があれば、卒FIT電力の完全自家消費も現実味を帯びてくる。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.29(2019年春号)より転載

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