”再生”がコンセプト! 太陽光発電付ノートルダム大聖堂再建案とは
2019/12/20
2019年4月に発生した、ノートルダム大聖堂の火災。仏大統領は、12世紀から建築が始まったこの大聖堂の再建を約束している。それをうけて、多くの建築家がデザイン案を発表。その中には、太陽光発電を導入した、最先端の再建案も出されている。
ヴァンサン・カルボー・
アーシテクチュール案
「私たちはノートルダム大聖堂をさらに美しく再建する。5年以内に完成させたい」。半年前、焼け落ちた尖塔の前でフランスのマクロン大統領は国民に向かい演説した。尖塔再建には国際コンペを実施するというフィリップ仏首相の発表に、多くの建築家がデザイン案を発表。フランスの建築事務所ヴァンサン・カルボー・アーシテクチュールもその1つだ。
同案のコンセプトは「再生」。カーブを描きながら尖塔へつながる、ガラスを多用した屋根が特徴的だ。大聖堂は建物で消費される以上のエネルギーを自ら作り出す。屋根には光を吸収して電力に変える太陽光発電の機能を持たせ、シロアリの巣の構造から発想を得た換気システムを備える。陽の光が降り注ぐ屋根の下では慈善団体が果物や野菜を栽培。ホームレスに配る予定だという。
政府は2020年末にまでに、火災で強度が落ちた大聖堂の安全確保の作業を終わらせ、再建を始める予定を組んでいる。2024年に開かれるパリ五輪までの完成が目標だ。ノートルダム大聖堂は各時代の増改築を経て現在の形になった。フランスの象徴をどのような形で未来へつないでいくのか、これから私たちは歴史の1 ページを見ていくことになるだろう。
文/Yukinobu Kato
SOLAR JOURNAL vol.31(2019年秋号)より転載