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【FIT抜本見直し】事業用低圧太陽光の 「自家消費」トレンドが加速!

自家消費計画を提出
計画倒れは認定取り消し

一部自家消費とは、どのようなものなのか。重要な部分だが、委員会案には「一定の自家消費比率」とあるだけで、まだ詳細は固まっていない。ただ、「ごく僅かしか自家消費を行わない設備が設置され、実質的な全量売電となることを防ぐ」とされており、FIT認定時には「自家消費計画」の提出が求められる。また、運転開始後には、計画通りに自家消費が行われているか否かがチェックされる。
 
不適切な案件については、「認定取り消しなどの厳格な措置を講じることとすべき」とあり、資源エネルギー庁の強い姿勢が伺われる。
 
自家消費のスタイルについては発電設備と同じ場所で電気を使うケースに加えて、自営線によって近隣の関連施設等で電気を使うなど、事実上自家消費を行っている事業も認めていく方針を示している。
 
もちろん、自家消費を行うためには、それにふさわしい設備を有していなければならない。具体的な設備内容については規定されていないが、レジリエンス強化の観点から、災害時の活用を視野に入れたシステムであることも求められている。
 

パワコンほか対応機器に
ビジネスチャンス広がる

こうした要請を踏まえると、これからの低圧太陽光発電システムには、これまでのスタンダードとは異なる設備機器ニーズがあることが分かる。
 
その一つとして挙げられるのが、「自立運転モード」だ。それに対応したパワーコンディショナが、これからの低圧太陽光には必須となる。余剰売電が基本の住宅用では自立運転機能付きのパワーコンディショナが当然だが、全量売電を前提とする事業用太陽光には、あまり採用されてこなかった。まずは、このあたりに新たなビジネスチャンスがあると考えられよう。
 
資源エネルギー庁は昨年「事業用太陽光発電(50kW程度)の新設時における自立運転モードの設置に必要な事項」とコストを、事業者ヒアリングをもとに推計している。それによると、パワーコンディショナ以外に必要となるのは、①非常時のコンセントBOX・その架台(約3万1000円)、②コンセントBOXに接続するためのケーブル等(約5万円)、③配線等の追加的な工事(約6万円)。自立運転機能付きパワーコンディショナ以外にも、関連商品・サービスがあることが分かる。
 

事業用太陽光発電が
自家消費市場を牽引


出典:富士経済

富士経済の調査によると、自家消費型太陽光発電システム国内市場は2030年度、7694億円に拡大する。2018年度比は4.7倍、その原動力となるのが事業用太陽光だ。これまでは住宅用が主導してきた自家消費だが、2020年度に逆転し、2030年度には事業用が住宅用の2.5倍以上になる見通しを立てている。
 
FIT抜本見直しによって、事業用太陽光の自家消費トレンドは、より確かなものとなるだろう。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.32(2020年冬号)より転載

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