新FITを勝ち抜く太陽光ビジネスとは?
2016/11/01
地域・市民が主役の電力ビジネスへ
ドイツ精密機械大手企業SMA日本法人の川上勝史・サービスダイレクター兼テクニカルダイレクターは、「電力インフラを支えるパワーコンディショナの役割と可能性」をテーマに講演。川上ダイレクターは、「日本では住居・商業地域に大型太陽光発電所建設が多いことから、動作音など騒音対策を施したパワーコンディショナの需要が多い。また今後は、サイバー攻撃の危険性が高くなるので、業界全体でセキュリティレベルを高めなければならない」と警鐘を鳴らした。
シンポジウムでは地域新電力の代表者などによるパネルディスカッションを実施した。日本再生可能エネルギー総合研究所の北村和也代表がコーディネーターを務め、パネリストとして、会津電力の佐藤彌右衛門社長や、みんな電力の大石英司社長などが登壇。地域・市民が主役の太陽光発電所を中心とする電力ビジネスについて議論した。会津電力の佐藤社長は、「当社の太陽光発電事業の特徴は、未利用地を活用した小規模分散型だ。福島県でも積雪の多い地域なので、実証実験による確認をしたうえで、パネル角度や高さを最適にして設置している。さらに当社は今後、小水力事業やバイオマス発電事業を計画している」と強調。
みんな電力の大石社長は、「当社は“顔のみえる”電気を販売している。ホームページで各太陽光発電所オーナーの発電所名の由来や想いなどを明示し、消費者は電気を購入することで発電所を応援できる仕組みをつくっている。さらに地域NPOやNGOの支援、一人親などへの電力支援といった社会貢献性を重視したソーシャルエネルギーカンパニーを目指している」と語った。また、電力小売全面自由化から半年が経過した現状について、大石社長は「海外では再生可能エネルギーを選んで買うのが当たり前になっているのに、日本は安ければ安いほうがよいという価格主義がまだまだはびこっている。東京電力福島第一原子力発電所事故を経験している日本国民だからこそ、持続可能で社会貢献性の高い再エネ由来の電気を選んでいくよう、世の中に浸透させなければいけない」と訴えた。
取材・文/南野 彰