最先端の薄膜太陽電池 日本企業の参加を要望中!
2015/10/07
オープンイノベーション型の研究機関で、薄膜太陽電池の研究開発に取り組んでいるオランダSolliance(ソライアンス)は、日本企業とのパートナーシップの積極的探索に乗り出している。太陽電池メーカーだけでなく、幅広く協業できる企業を求めていく方針だ。
最先端の設備やパイロットラインを提供
Sollianceは、オランダ・アイントフォーフェン市に本拠地を置き、2011年に設立された企業だ。世界的な研究機関や大学と協業し、約250名の研究者が様々なプログラムに取り組んでいる。
オープンイノベーション型の特徴としては、様々な企業や研究機関とSollianceが共同研究プログラムを立ち上げる点にある。両者は開発ロードマップを共有し、単なる研究開発ではなく事業化を視野に入れてプログラムを進めていく。企業・研究機関は、研究費を供出するとともに、研究員をSollianceに出向させ、Sollianceは、最先端の研究施設やパイロットラインを提供する。
現在、研究パートナーは研究機関がオランダTNO、オランダHolst Centre、ベルギーimecなど8団体。一方、産業界からはオランダDSM、オランダVDL、ドイツRexrothなど24社が参加しているが、日本を含むアジア系企業は入っていないという。特に「日本企業は低コストで複雑な製品を作る技術に長けている」(Sollianceディレクターのヘイベル・ファンデン・ヘイベル氏)とし、大きな期待を寄せている。今回、Sollianceの幹部が来日し、太陽電池メーカーを含む数社を訪問、研究プログラムへの参加を呼びかけた。
R2Rのエコシステムを構築し研究を効率化
薄膜太陽電池は、フィルムなどに形成できるため、結晶Si系太陽電池に比べ柔軟性に優れている。金属箔へも積層でき、木材基板などとの一体化や立体形成も可能である。また、デザイン性も評価されており、建材一体型太陽電池や自動車への応用が計画されている。
今までは、変換効率の低さがネックとされてきたが、研究開発の進展から年々変換効率は向上している。さらに、鉱物の一種であるペロブスカイトなど、新材料の開発も進んでいることから、変換効率はさらに上がると予測している。またコストについても、生産規模の拡大によりさらなる低コスト化が期待されている。
薄膜太陽電池であれば、積層することが可能になるので、グネグネした形の建物を建てることも!
この他、Sollianceでは電子デバイスを効率良く量産する手法の1つである「ロールtoロール(R2R)」技術の研究開発にも積極的に取り組んでいる。R2Rには様々な技術課題があるため、当面は「シートtoシート」での生産方式がメインとなるが、将来的には十分可能性があるとしている。Sollianceでは現在、各企業が個別に行っている研究開発を共同で行うことにより、「リソースを集約でき、効率的な研究開発を行うことができる」(ヘイベル氏)と強調した。