FIT後も太陽光発電をビジネスとしてやっていくには?
2015/07/28
そもそも、エネルギーは国民生活に無くてはならないものであり、日本のように資源のない国は、純国産エネルギーとしての再生可能エネルギーを積極的に導入して行かなければなりません。産業としてその動きを支えていくためには、継続的に安定した市場が必要であり、太陽光発電の買取価格が下がっていっても、着実に導入量が増えていくことが大事なのです。
FITは、「時間を買う」という点からは、未来への投資といもいえます。2019年からは余剰電力買取制度の買取期間が、2032年からはFIT制度の買取期間が終了した発電設備がでてきます。これらの設備では買取期間が終了しても発電しなくなるわけではありませんので、ランニングコストを除けばほぼ原価ゼロの純国産電力が得られることになります。
これは国民に広くご負担頂いたFITによってもたらされる国民全体の大きな財産となります。それを現実のものにするためにも買取期間が終了した太陽光発電所が継続的に発電を続けることができるような制度、機器システムのあり方を、今後も提案し続けていきたいと思います。
また、太陽光発電が今後普及し続けるには、蓄電池との組み合わせが重要となります。電力の基幹系統に設置して需給調整する大型蓄電池の実証試験が、北海道、東北地方で始まっています。NAS電池、レドックスフロー電池、リチウムイオン電池など様々な種類の蓄電池があります。
いろいろな組み合わせで蓄電池を有効活用する時代はやってくるでしょう。当協会としては太陽光発電の累積導入量64GWはあくまで通過点と捉え、我々が目標とする100GWを目指していきます。
亀田正明氏
一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)事務局長
1985年三洋電機株式会社入社。太陽電池技術の研究開発や太陽電池セルの品質管理等に従事。1998年~2001年には日本電機工業会(JEMA)担当課長として、太陽光発電の標準化事業を担当。2004年には太陽光発電の認証事業創生により、日本電機工業会会長特別賞を受賞。2015年から現職に就任。
取材・文/大根田康介