政策・制度

経産省、部分供給の見直し案「分割供給」を今年10月にも導入か。既存のオフサイトPPAへの影響は?

電力小売に新規参入した事業者への経過措置である部分供給に代わって、経済産業省・資源エネルギー庁は、「分割供給」という新制度を導入する案を示した。オフサイトPPAでも活用されてきた部分供給がどのように変わるのか、議論の行方に注目だ。

新電力ビジネスの経過措置
部分供給が一部停止

部分供給とは、1つの需要地に対して、新規参入の事業者と大手電力会社との2者で電気を供給する仕組みだ。これを活用すれば、電力小売に新規参入した事業者がより多くの需要家に電気を送ることができる。電力自由化にあたって、新規事業者の競争力を補完するための経過措置と位置付けられている。

資源エネルギー庁は今年3月、部分供給が本来の趣旨とは異なる運用がされていることを受け、部分供給の見直し案を示した。現在、部分供給の形態の1つである通告型部分供給は、すでに新規申し込みの受付が停止されている。

新たな見直し案「分割供給」
オフサイトPPAの間口広がるか

6月17日の電力・ガス基本政策小委員会で、事務局は、部分供給に代わって「分割供給」という新しい制度を導入する案を示した。部分供給では、供給者が新規の事業者と大手電力会社に限られていたが、分割供給ではこれに限らないとしている。したがって、新規の事業者同士や、他エリアの大手電力会社との分割供給も可能になるとみられる。

現在、部分供給を活用したオフサイトPPAでは、太陽光の電気を新規の事業者、夜間や雨天の電気を大手電力会社が供給する場合がある。分割供給が導入されると、夜間や雨天の電気を、別の新規の事業者や他エリアの大手電力会社が供給できるようになると考えられる。

事務局は、早ければ今年10月にも部分供給を廃止して、分割供給に切り替えたいとしている。現在、部分供給を契約している需要家に対しては、2025年4月1日までに分割供給へ移行してもらいたいとした。

オフサイトPPAなどの長期契約
供給者の変更による影響を懸念

これに対して、委員からは、「需要家が長期間の部分供給の契約をしている場合、分割供給の導入後に、大手電力会社が現行の契約を取りやめると、需要家に不利益が発生するおそれがある」といった声があがった。部分供給はオフサイトPPAでも活用されている仕組みだ。オフサイトPPAでは、契約期間が20年間などの長期にわたることが一般的であるため、途中で電気の供給者が変更になると、契約単価の変更など、需要家に影響が及ぶ可能性があるという指摘だ。

他にも、「一律に分割供給へ移行するのではなく、十分な移行措置や柔軟な対応が必要ではないか」という指摘もあった。これを受けて、事務局は、詳細についてはさらに検討することとした。

DATA

資源エネルギー庁 電力・ガス基本政策小委員会


文:山下幸恵(office SOTO)

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