政策・マーケット

自然エネ「2030年24%」本当にいけます?

FITの見直しは、自然エネルギーを最大限導入しつつ国民負担を抑制する制度変更だ。2030年の日本のエネルギーミックス(電源構成)の目標達成に向けて、各分野の自然エネは着実に導入拡大している。

エネミックス目標達成へ十数年かけて着実に導入

FITの大幅見直しに加えて、太陽光発電の2016年度FIT買取価格が下がったことなどにより、世間の人々は自然エネルギーの普及にブレーキがかかっていると思っているだろう。しかしその認識は間違いだ。

2015年度末時点での日本のエネルギーミックス(電源構成)のうち、自然エネが占める割合はまだ約11%にとどまっているが、政府は2030年の電源構成の自然エネ割合を22〜24%と定めて、目標達成に向けて、自然エネの導入は着実に進んでいる。

現状の自然エネ割合11%のうち約8%はダムなどによる大型水力発電であり、太陽光を中心とした自然エネはこれから十数年かけて着実に導入拡大していく。

なお政府が掲げた自然エネ割合22〜24%の内訳は水力8.8〜9.2%、太陽光7%、バイオマス3.7〜4.6%、風力1.7%、地熱1〜1.1%となっている。
これを各自然エネの導入量に置き換えれば、水力48.5〜49.3GW、太陽光64GW、バイオマス6〜7.2 GW、風力10GW、地熱1.4〜1.6 GWとなっている。
そして、15年12月末時点の各分野の導入量は水力が目標導入量の進ちょく率96.6%にあたる46.9GW、太陽光は47%の30.1 GW、バイオマスは42%の2.5 GW、風力は30%の3GW、地熱が37.8%の0.5 GWだ。

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見直しは太陽光以外追い風FIT脱却へ向け進歩

経済産業省資源エネルギー庁の松山泰浩・新エネルギー対策課長は、「FIT見直しの目的の1つは、導入が太陽光発電に偏りすぎていたことに対する是正。ほかの自然エネ分野は制度改正により追い風となる」と語る。
そもそも15年12月末時点のFITの太陽光設備認定容量は、79.4 GWとエネミックス目標値64GWをすでに超えている。

17年度以降に実施する予定の新しい認定制度によって、塩漬けとなっている太陽光の認定設備は取り消されて30年64GWに向けて再出発することになる。太陽光の導入量は今後、急激な伸びから穏やかな拡大へと変わっていく。
「新たな認定制度に基づいていっても、太陽光は30年に64GW導入を十分達成できる見通しだ」(松山課長)。

一方、風力や地熱、バイオマス、水力など開発に比較的長時間を要する自然エネは12年7月のFIT開始後も導入拡大に伸び悩んでいた。
そこで制度改正により、太陽光につられて買取価格が低下しないようリードタイムの長い電源については数年先の案件の買取価格をあらかじめ決定して、事業計画を安定させる。また地熱や水力については、初期投資への補助を含めた支援が検討されている。

なお日本風力発電協会は30年までに風力を36.2GW導入できると試算しており、16年2月には本格的な導入拡大を実現するための課題と対策を取りまとめた「JWPAウィンドビジョン」を策定している。

自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長は、「東京電力福島第1原子力発電所事故から5年経ったが、日本や海外ではエネルギー政策・産業の大きな転換の機会となっている。

自然エネは日本の将来を担う安定電源だ。FIT開始により日本の自然エネとくに太陽光の導入量は飛躍的に増えたが、自然エネの産業自体は未成熟だ。
将来的にはFITに頼らないで自立していくためにもこれからは自然エネの導入量拡大だけでなく、自然エネ産業の上流から下流まで整備されていく必要がある」と強調する。


大林ミカ
自然エネルギー財団 事業局長
環境エネルギー政策研究所副所長や駐日英国大使館気候変動政策アドバイザーなどを経て2011年8月、自然エネルギー財団の設立に参加し現職を務める。

松山泰浩
経済産業省 資源エネルギー庁新エネルギー対策課長
1992年通商産業省(当時)入省。2012年から資源エネルギー庁石油・天然ガス課長、同年12月より経済産業大臣秘書官を経て、14年9月より新エネルギー対策課長(現職)。


文/南野彰

※『SOLAR JOURNAL』vol.17より転載

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