太陽光発電

「逆転」の発想?米で日中の電力消費を促進する動き

太陽光発電導入の拡大によって生じる、電力需要と供給のミスマッチや、ネガティブプライス。アメリカ・アリゾナ州の大手電力会社は、これらの課題を解決するため、実験的に「リバース・デマンドレスポンス」の導入を始める。

「ダックカーブ現象」と
「ネガティブプライス」

アリゾナ州で最大規模の電力会社アリゾナパブリックサービス (APS)は、「リバース・デマンドレスポンス」プログラムを含む2018年度のデマンドサイド・ マネジメント(需要側管理)計画を9月に同州の公益事業委員会に提出した。このプログラムは、最も電力供給の値段が高い夏季の午後3時から夜8時の時間帯に節電、そしてアリゾナの太陽が豊富な電力を発電する時に電力消費を促す施策である。

従来のデマンドレスポンスは、 卸電力価格が高騰または電力需給が逼迫した際に電力会社が消費者に電力の使用を抑えるように信号を送り、需要家側に電力消費パターンを変化させてもらうことだが、リバース・デマンドレスポンスはその逆で、電力会社が消費者に電力消費を増加させるように信号を送って調整を行うことである。

APSがリバース・デマンドレスポンスを提案している理由の1つは「ダックカーブ現象」の対応である。ダックカーブ現象は、太陽光発電導入の拡大に伴い引き起こされる需要と供給のミスマッチである。太陽光発電の出力が高くなる日中に供給が需要を上回り、さらに、太陽光発電の出力が落ちてなくなる夕方以降に需要が急激に上昇し、電力会社は短期間で需要を満たさなくてはならない。電力会社は、需要家に電力消費パターンの変化を促すことで、需要と供給のギャップを減らす試みである。

ネガティブプライス問題
出力抑制の必要性を削減

もう1つの理由は、日中のネガティブプライスという問題に取り組むためである。ネガティブプライスとは、電力価格が卸市場でマイナス以下の「負」になることで、電力発電事業者が市場で電力を売るのではなく、引き取ってもらうために支払うことである。例えば、 供給が需要を上回ると、出力抑制がかかり稼働を止めなくてならない。稼働停止と再稼働にコストがかかる発電所を持つ発電事業者や、「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS: renewable portfolio standard)」法に遵守しなければならない電力事業者が発電停止を回避するために支払いをして電力を引き取ってもらうので、ネガティブプライスが生じる。

APSはリバース・デマンドレスポンスで、まず非住宅用顧客の電力需要を再生可能エネルギーが豊富な時間帯にシフトさせ、ネガティブプライス期間に太陽光発電の出力抑制の必要性を削減することを目指す。このプログラムに参加できる顧客は、まずネガティブプライスのタイミングに電力会社の依頼に対して急送のための最低30kWの負荷を受けられることが条件になっている。

このリバース・デマンドレスポンスは、アリゾナ州公益事業委員会の許可のもと、まず試験的に2018年に開始される予定である。このプログラムの予算は20万ドル(2018年単年度)で、参加者にはサブメーターが無料で設置され、リバース・デマンドレスポンス依頼に対して消費された電力は無料となっている。

APS電力会社が電力を供給・販売するアリゾナ州

 

 

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