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太陽光発電

ZEH時代を生き残るための蓄電池戦略「まっち」

 

蓄電システムの活用がポイントです。

問題解決の鍵を握るのは、そう、「蓄電池」です。そして、キーワードは以下の4つです。①単価の逆転現象、②2019年問題、③デマンド契約、④EV・FCV・PHV・HVといった、蓄電池を積んだ自動車の時代。このあと、1つずつ説明させていただきます。

①単価の逆転現象

2018年度の住宅用太陽光発電のFIT売電単価は26円です。現在の購入電力の単価は各電力会社や新電力により違いますが、およそ26円となっており、ほぼ拮抗しています。今後、売電単価は下落することが決まっており、やがてFITそのものがなくなるでしょう。逆に、購入電力単価は、再生可能エネルギー賦課金もあり上昇する見込みです。つくった電気は売電するより、使った方がお得になる時代がやってきます。蓄電池をプラスすれば、昼間発電して余った電気を貯めておき、夜間に使うことで、電力購入量を減らすことができるのです。

②2019年問題

2012年にはじまったFITに先立って、2009年から始まった住宅向けの余剰電力買取制度が、契約期間の10年を終えようとしています。まずは2019年に、およそ50万世帯ほどのご家庭が契約期間満了を迎え、翌年以降も続々と契約期間を終えるご家庭が出現します。2017年末の経産省の発表では、再契約ができないご家庭向けに無償で電気を系統に受け入れる案が示されましたが、これでは発電損です。

蓄電池をプラスすれば、ほんの数円の売電契約しか提示されない方でも、再契約自体を結べない方でも、ご自宅の太陽光発電システムでつくった電気を使い、余った分を貯めて、自宅で地産地消することで、今後高くなる購入電力を極力使わずに、無駄のないエネルギーを上手につかうことができます。

③デマンド契約

ご自宅に夜間蓄熱式の機器、例えばエコキュートなどがある場合には、電力会社と結ぶ契約はこれまで「電化上手」というプランが一般的でした。これは1日を季節別や時間帯別に3つに区切り、夜間の電力は安く、昼間は高くといった具合に設定され、電気代の安い夜間にお湯を焚き上げ、貯めておき、電気代の高い昼間や朝晩には極力使わないという論理でした。しかし、2016年4月以降は新規で「電化上手」の契約が結べなくなり、これに変わる新たな契約が誕生しました。

それが「スマートライフプラン」です。前出のエコキュートを新設されたご家庭などが何も知らずにこの契約にされることが多いのですが、「スマートライフプラン」は実は「デマンド料金」なのです。

「デマンド料金」とは、工場などの高圧受電設備などで導入されてきたもので、30分ごとの電気使用量を比べて、月間で一番大きい値をピーク電力といい、過去1年間の各月のピーク電力のうち最も大きい値を契約電力とするものです。ですから電気の使用時間をできるだけ分散して、ピーク値を下げることが極めて重要なのです。

そこで、蓄電池の出番です。電気をたくさん使う時間は蓄電池の電気を使い、買電量を抑えます。ピーク値を抑えることで、契約電力を抑える手助けをしてくれるわけです。

④EV・FCV・PHV・HVなど
蓄電池を積んだ自動車の時代

トヨタ自動車をはじめ、世界の名だたる自動車メーカーが、ガソリンだけの車は販売しない方針を決めました。現代までの産業を牽引してきた内燃機関に一区切りを打つというのは非常に感慨深いところではありますが、自動車分野でも「蓄電」ありきの方向で間違いがないようです。

エネルギーの分野で見ますと、この車載された蓄電池を定置式の蓄電池に替えて次世代のZEHの本命とするべく、毎日のように「Vehicle to Homeシステム」に関するニュースが踊っています。Vehicle to Homeシステムとは、蓄電池を搭載している自動車(Vehicle)から、ご家庭(Home)の中で使用する電気を還流させ、従来の定置型蓄電池と共存、または置き換えて使用するための仕組みのことです。従来あったEVなどを充電する際に使用する充電スタンドとは逆の電気の流れになり、車から家を流れるのでVehicle to Home(車から家へ)システムと呼ばれています。

これら車載されている蓄電池の容量は、とても大きなものです。定置型の蓄電池では2~10kWh程度ですが、車載蓄電池には30kWhを超える大容量のものも少なくないため、停電時や万一の際などのバックアップに期待されています。さらに、PHVやHVの場合、ガソリンと車載電池のハイブリッドのため、万一災害等で電気が通じなくなっても、ガソリンスタンドで給油さえできれば電気エネルギーを供給することが可能になります。


講師を務めた取締役技術部長の山本耕司氏

まとめると、こういうことになろうかと思います。

①「単価の逆転現象」対策→蓄電池により電気使用をタイムシフトし、高い購入電力を極力買わないようにする。

②2019年問題→蓄電池を活用して、売れない電気、売れても数円の電気を自宅ですべて自家消費(地産地消)する。

③デマンド契約→蓄電池を活用して、電気使用の平準化を行い、向こう1年間の契約料金を抑える。

④EV・FCV・PHV・HVといった、蓄電池を積んだ自動車の時代→車載された大容量の蓄電池を万一のバックアップ電源として担保し、大きな安心を備える。

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