太陽光発電

蓄電池併設が必須に! ハワイ州「住宅用太陽光発電プログラム」の変革

ハワイ州は、米国で分散型太陽光発電の浸透率ナンバーワン。しかし、 太陽光発電の導入拡大により、系統に悪影響が生じてしまった。系統の信頼性を保ちながら「再エネ100%」を達成するため、同州の太陽光発電プログラムは蓄電池併設を前提に大きく変革されている。

アイキャッチ:屋根置き太陽光発電がいたるところで見受けられるオアフ島、出所:J.Movellan

屋根置き太陽光発電を増やし
2045年再エネ100%へ

日本では、長年太陽光発電の導入拡大を支えてきた「余剰買取制度」の売電期間が順次満了を迎えようとしている。米国ハワイ州では、日本の余剰買取制度に似た、小売価格で電力を買い取るネットメータリング制度が、2015年に既に打ち切られている。同州は、米国でこの制度を廃止した最初の州になる。



全米を太陽光発電導入量でみると、温暖な気候と広い土地に恵まれたカリフォルニア州がダントツナンバーワンだが、浸透率でみると、ハワイ州がカリフォルニア州を大きく引き離してナンバーワンとなっている。

ハワイ州で太陽光発電の導入が進んだ理由は、米国で1番高い電気料金にある。この高い電気料金単価によって、ハワイ州ではより高い投資見返りが実現できたのだ。

しかし、同州では2010年以降、分散型太陽光発電システムの導入量が急速に増加したことで、電力系統への悪影響が懸念されるようになり、分散型太陽光発電システムの接続保留、出力抑制、さらにネットメータリング制度廃止へと至った。それにより分散型太陽光発電市場が冷え込んでしまった。

太陽光発電の導入拡大により
登場した新たなオプション

そこで、ネットメータリング制度の終了後、系統の信頼性を保ち、さらにより多くの再エネを系統に接続するため、(1)カスタマー・セルフサプライ(自己供給:CSS)と(2)カスタマー・グリッドサプライ(顧客系統供給:CGS)というオプションが導入された。

「CSS」は、ソーラーの全発電量を自家消費に当てるのが目的である。したがって、余剰電力はグリッドに送ることができるが、電力会社は買取する義務はなく、余剰電力は「無報酬」で電力会社へ送られる。

「CGS」は、グリッドに送られた余剰電力は小売価格(約米31〜38セント/kWh :地域によって異なる)ではなく、より低い価格(米15〜28セント/kWh)で買い取られる。

このプログラムには島ごとに設置容量制限がつけられた。 ハワイ州公益事業委員会(PUC)は、分散型電源の系統供給に制限をつけない場合、他の低コストの再エネを調達する機会を失い、公共の利益にならないと結論づけた。2017年11月に総設置容量制限の75.34MW-ACに達し、このプログラムは終了した。

CGS終了後、2018年2月から、ハワイ州PUCの承認のもと、(1)制御可能CGS(CGS+)と(2)スマートエキスポート(スマート逆潮流:SE)という2つの新しい住宅用太陽光発電プログラムが新たに開始された。

CGSにとって代わる
「CGS+」とは

まず、「CGS+」はCGSにとって代わるもので、顧客は系統に流す電力を買い取ってもらえるが、電力会社が系統の安全と信頼度を保つため電力会社が認定した高性能な機器を設置し、 その機器を通して電力会社が遠隔測定・監視、そして必要によって制御できるようになっている。このプログラムもまた買取価格は島別で変わるが、オアフ島では1kWh当たり10.08セント、ラナイ島では20.90セントとなっている。このプログラムも設置容量制限があり、オアフ島では35MW、マウイ島7MW、そしてハワイ島で7MWとなっている。

系統の安定性の維持が必要な場合、電力会社はこのプログラムに参加している太陽光発電システムの稼働を遠隔で止めることができるが、ハワイ州PUCは出力抑制の規制として、まず、他の出力抑制可能な資源の稼働を停止した後、電力会社はCGS+プログラム参加の全てのシステムを1つのグループとして出力抑制に取りかかれるとしている。よって、CGS+システムが出力抑制の対象となる可能性はとても低い。

ハワイPUCでポリシー・リサーチの署長を務めるデイブ・パーソン氏によると、プログラムの開始以来、出力抑制がかかったことはないそうだ。



蓄電池併設オプション
「SE」とは

次に、「SE」は、太陽光発電は昼間に発電ピークを迎えるが、同州のピーク電力需要時間帯にマッチしないという難点に対処しようとする同州で最初のプログラムとなる。

このプログラムで電力買取が可能な時間帯は、ハワイ州の電力需要ピーク時間である午後4時から翌日午前9時となっている。つまり、同州に既に設置されている太陽光発電システムで需要が十分以上に満たされる昼間は、「SE」のシステムから電力は買取されない。

このプログラムを成功させるためには、顧客は屋根置き太陽光発電システムに蓄電池を併設し、電力が買い取られない午前9時から午後4時の間、太陽光で発電した電力を蓄電池に蓄える必要がある。蓄えた電力を夕方のピーク時間帯に自家消費に使う、または夕方、深夜、早朝に系統に送り電力会社に売ることができる。

送った電力の買取価格は島別で異なるが、オアフ島では1kWh当たり14.97セント、ラナイ島では20.79セントとなっている。買取価格は2022年10 月22日まで固定されている。

●ハワイ州太陽光発電システムプログラム
島別買取価格(セント/kWh)

出所:Hawaii State Energy Office

ハワイ島で太陽光発電システムの販売・施工を手がけるプロビション・ソーラー社の社長であるマルコ・マンジェルソドルフ氏は、新しいプログラムについて、「ハワイ島での小売価格は現在37セント/kWhです。それに対して、買取価格はたったの11セント。これからは蓄電池が重要な役割を果たすと思います。太陽光発電と蓄電池併設の新規顧客を開拓すると同時に、既に太陽光発電システムを設置したお客様への蓄電池の設置を進めています。2018年には(2017年と比べて住宅用)蓄電池の設置が2倍から3倍になると思います」と蓄電池併設市場の拡大を確信していた。

●ハワイ州太陽光発電システムプログラム比較

出所:Hawaii State Energy Office


文/モベヤン・ジュンコ

SOLAR JOURNAL vol.28(2019年冬号)より転載

関連記事

アクセスランキング

  1. 「FIT制度」の次のステップ「FIP制度」って?
  2. 風車の種類は大きく2種類!? 風力発電入門講座
  3. なぜ日本で洋上風力が広まらないのか? 参入における2つの障壁とは
  4. 1位はあの国!? 風力発電導入量の国別ランキング!
  5. 地域を潤す再エネ事業「シュタットベルケ」の神髄がここに!
  6. 「雑草」がエネルギー源に!? 名城大が発電を実演
  7. 今さら聞けない! 仮想発電所(VPP)とは?
  8. 「再エネ海域利用法」とは? 新法の狙いと仕組みを解説
  9. 2019年春スタートの「森林経営管理制度」バイオマスへの影響は?
  10. これが日本最大の風力発電所だ!出力80MW/年間発電量1億5000万kWh

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.30 / ¥0
2019年7月31日発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ 太陽光業界最新ニュース