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洋上風力はFITから「入札制」に移行予定、コスト低減で導入拡大へ

現状のFITから入札制に移行する方針が明らかにされている風力発電。再生可能エネルギーを"主力電源"と位置づけた現代の日本において、「風力は太陽光に並ぶポテンシャルがある」と、大きな期待が寄せられている。

前記事:「一般海域占有期間が最長30年に! 洋上風力発電の新法案とメリットとは」

FIT入札と一体
運用事業者は公募で選定

促進区域での洋上風力発電事業は、誰でも行えるというものではない。事業者は公募によって選ばれる。

事業を行いたい者は、まず発電事業の内容や電力の供給価格を記した「公募占用計画」を、経済産業大臣および国土交通大臣に提出する。そして、最も適切な計画の提出者が、事業者として認定されることになる。

さて、ここで気になるのがFITとの関係だ。現在、洋上風力には36円/kWhというFIT価格が設定されているが、近い将来、「入札制」に移行する方針が明らかにされている。

今回の洋上風力促進法における事業者の公募選定においても、右記の通り電力の供給価格が重要な判断材料となる。これは、まさにFIT制度が予定する入札にあたるものだ。洋上風力促進法における事業者選定プロセスとFIT制度は、一的に運用されるものと考えて良いだろう。

洋上風力促進法の
事業者選定プロセス

政府が基本方針を策定

大臣が促進区域を指定

事業者が公募占用計画を提出
電力供給価格・発電事業の内容等

大臣が事業者を選定

FIT認定

海域の占用許可(最大30年間

※経済産業大臣および国土交通大臣

洋上風力は大型化へ
コスト低減を促し導入拡大

洋上風力促進法によって、海域利用のルールが明確になり、30年間の海域占用が可能になる。30年あれば、環境アセスメントなど着工までに要する期間を加えても、FIT買取期間(20年)を十分にカバーできる。事業の予見可能性が高まり、資金調達も相対的に容易になる。

事業者の公募選定(入札)は、競争原理によって発電コストの低減を促すものと期待される。ただし、コスト低減のためには風車の大型化、設備の大規模化が不可欠だ。洋上風力促進法は、事業者を淘汰し、大型案件の組成を促すものということもできる。

7月3日に閣議決定された『第5次エネルギー基本計画』において、再生可能エネルギーは日本の「主力電源」と位置づけられた。日本では現状、太陽光発電が突出した状況だが、洋上風力発電にはより大きなポテンシャルがあるものと期待される。洋上風力促進法の果たすべき役割は大きい。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載

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