「入札制度」日本には早い!? 大先輩ドイツに学べ!
2017/07/26
日本では時期尚早か
再エネの導入目標を高めよ
さて、日本はどうか。2017年度の入札対象電源は、2000kW以上(特別高圧)の事業用太陽光発電に限定される。その理由は、FIT導入後、他電源と比べ導入が大幅に進んでいることや、コスト低下のポテンシャルが大きいことなどだ。
初年度には、10月を目処に1回実施し、 次年度(2018年度)以降は原則として年2回実施することになりそうだ。2SO017年度の1回目の入札量は500MW(0.5GW)。
入札上限価格は、2017年度の非住宅太陽光(10kW以上、2000kW未満)と同じ21円/kWh。2018年度以降については、2017年度の実績に基づき決められることになる。
入札制度により期待されるのは、競争によって21円より安い買取価格が決まることだ。しかし、もし、入札希望者が想定より少ない場合などには、入札価格が「上限21円」に固定され、入札の意味がなくなってしまう可能性がある。実際、筆者の周辺でも「21円に張り付くだろう」と見る業者が多いのが実情だ。
筆者が懸念するのは政府の志の低さだ。筆者は、2030年までに太陽光発電だけで累計1億kW (100GW)を導入することを提唱している。それに対して、政府目標は67GWでしかない。また、現在の総電力需要に占める再エネの比率は、水力を入れても14%程度でしかない。
そう考えると、入札制度導入は少し早過ぎると感じる。今回の入札制度が太陽光発電の勢いを止めるようだと、1年で中止するべきであろう。
村沢義久
米コンサルティング会社や大手投資銀行などを経て、2005年より、東京大学特任教授として地球温暖化対策を研究した後、2013年より現職。化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱し、低炭素社会の実現に注力。著書に『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』など。Twitter アカウント: @murasawa
『SOLAR JOURNAL』 vol.21より転載